健康・環境

ナノ粒子の生体影響評価・生殖発生毒性評価の問題点

標題の件について、日本薬学会第132年会(2012年3月)と生殖発生毒性学東京セミナーの第21回(2011年10月)、第22回(2012年3月)などで指摘された点をまとめておきます。 この研究分野における問題点や課題は他にもありますが、ここにはナノ粒子や化学物質…

「リスク」概念に関するメモ

先日ここに書いた「リスク対策の難しさ」に関連して、ウェブ上の参考資料をいくつか紹介します。私自身用のメモを兼ねています。

リスク対策の難しさ

「リスク論批判」。4年前の記事で最新ではないかもしれませんが、いろいろと考えさせられました。「リスク対策」や「人への悪影響の予防・防止」をこれから考えたり、専門にしようとされている方は、一度読む価値のあるものだと思います。「リスク対策」の難…

発達「障害」と言わざるを得ないのか

今日はまず、最近のNatureダイジェスト(日本語版)から強く興味を引かれた記事を紹介します。 テーマは、脳機能障害に伴う子どもの発達障害に関する話題です。これを「障害」と言わざるを得ない現状を、どうにかして変えられないものかどうかと考えさせられ…

記事紹介-運動で高める脳機能とこころの健康

『運動で高める脳機能とこころの健康』 (柳田信也著、科学フォーラム2011年11月号、pp.24-29、東京理科大学出版会発行) 私と共同研究もさせていただいている柳田信也先生(東京理科大学 理工学部 助教)の、とても面白い解説記事です。素晴らしいとも評し…

生活習慣と肥満・糖尿病―薬学会環境・衛生部会「フォーラム2011」参加報告

2011年10月27~28日の2日間、「フォーラム2011:衛生薬学・環境トキシコロジー」(日本薬学会 環境・衛生部会」に参加してきました。私にとって一番興味深く、大いに今後の仕事の参考にしたいと思ったのは1日目の特別講演です。 PL-1 「2型糖尿病の病態と治…

リスク評価の方法(書籍紹介)と私の考え

先日、このブログで『メディア・バイアス』という書籍を紹介しましたが、それに関連する書籍を紹介します。先日の紹介を見てくださったうちのラボのポスドクの方が、是非こちらもと言って貸してくださいました。 化学物質曝露のリスク評価に関心のある方には…

高脂肪食で育った父親の子に糖代謝異常

『父親の栄養状態は子に伝わる』 Letter Ng SF et al. (21 Oct 2010) Chronic high-fat diet in fathers programs β-cell dysfunction in female rat offspring. Nature 467: 963-967 News & Views Skinner MK (21 Oct 2010) Fathers' nutritional legacy. N…

IgE抗体なしに喘息発作を引き起こすIL-33

今朝、このような見出しの記事が新聞に出ました。 「ぜんそく発作に強く関係、新たな物質突き止める」 (読売新聞、2010年10月19日) 元の論文は、これでしょうか。 Yagami et al. (2010) IL-33 Mediates Inflammatory Responses in Human Lung Tissue Cells…

体力を生み出す生活リズム

・布団についた6時間半後に起きる ・朝練習 ・朝7時から朝食 炭水化物多め+野菜 ・仕事へ ・午後0時半前後に昼食 ・夕方に備えて少量のカロリー摂取 ・夕方練習 ・夜10時までに夕食 タンパク質多め+野菜 ・夜10時40分から11時までラジオ英会話 ・夜11時半…

マクロライド系抗菌剤の免疫調節作用

今、マクロライド系抗菌剤の免疫調節作用、とくにサイトカインの発現調節作用についての論文を書いています。マクロライド化合物は、抗菌作用を持つことがよく知られ、抗菌剤として使われています。一方でこの化合物は、細菌などによる感染を伴わない免疫反…

生殖発生毒性学の抱える課題

私は、子どもをお腹に持ち得る女性(妊婦)の生活環境や生活習慣が、その子の健康に与える変化に注目しています。以前にも、ここでその考えを紹介しています。 ・胎内で将来の病気の原因が作られる(2009年11月2日) ・幼少期の生活・栄養と生活習慣病(2008…

酷暑と大気汚染で死亡数2倍に‐ロシア

ロシアで観測史上これまでにない炎暑が続き、 健康被害も深刻になっています。 猛暑では、熱中症による体調不良の危険があることは 多くの方がご存知のことと思います。 しかし、2010年夏のロシアではそれだけでなく、 猛暑で起こった森林・泥炭火災も 深刻…

デキサメタゾン投与と次世代個体の高血圧発症に関する論文

昨年末に、「疾病の発生学的起源説」に関する 知見を示した論文を簡単に紹介しました。 (→ こちら) そのうち、弊ブログの読者であるかもめさんから、 次の論文についての概説を依頼されていました。 David O’Regan, Christopher J Kenyon, Jonathan R Seck…

坂根正弘氏「省エネ世界一宣言」の提案

「ビジネス生かし『省エネ世界一宣言』を」 来週、2010年5月27日から日本経団連の 副会長に就任予定の、コマツ会長の 坂根正弘氏の言葉です。 「省エネ世界一宣言」は、坂根氏が経団連に 提案している言葉で、日本の取るべき環境政策を 示したものです。 私…

ビタミンで必勝!

大学受験、学位論文や卒業論文、就職活動など、 体も頭もフル活用しなくてはいけないこの時期。 「合格レシピ! ビタミンで必勝」というウェブサイトが 大鵬薬品工業株式会社により公開されています。 “受験とビタミンの関係”と題して、 ・脳とビタミン ・目…

えっ、飲用水道水に医薬品!? ~議論の現状と課題~

2009年11月5~6日に開催された、日本薬学会環境・衛生部会のフォーラム2009において、衝撃的な内容のシンポジウムがありました。 Forum 1 『医薬品廃棄物と環境汚染』 ブログのタイトルには、私の感情を込めて衝撃的なものを付けてしまいましたが、始めに断…

解説記事の紹介:有害微小物質PM2.5の環境基準案固まる

有害微小物質PM2.5の環境基準案固まる (日経BPネット、渡辺雄二氏) ディーゼル車などから排出される粒子状物質「PM2.5」。直径2.5マイクロメートル以下と、すでに規制されているSPM(浮遊粒子状物質)よりも小さく、肺の奥にまで達するため、肺がんや不整…

スウェーデンの乳酸菌サプリメント ~子どものアレルギーに効く!?~

スウェーデンに本社を置く会社が、母乳由来の乳酸菌をサプリメントにして発売したそうです。体内の常在菌のバランスを整え、さまざまな病気に効くと謳われています。 エコ先進国スウェーデンの 体にやさしい『乳酸菌サプリメント』新発売 (バイオガイア・ジ…

最近の自動車排ガス対策

環境問題として、大気中の二酸化炭素の増加による地球温暖化が騒がれている裏で、粒子状物質(PM)による健康影響も懸念されています。主にはディーゼルエンジンから出ると言われています。これに関連する対策や研究活動で、冒頭に紹介した記事を含め、最近い…

毒性学の目指すべきもの

先週の金曜(19日)、大学関係の仕事の方たちが主催してくれた懇親会がありました。お世話になった職員の方の一人が定年を迎えたので、その送別会&忘年会。 いろいろな人たちと話ができて楽しかった上に、私たち学生は、全部ごちそうしてもらってしまったの…

T細胞の活性を調節するメカニズム

免疫応答の強弱を決定する分子メカニズムを解明 - T細胞補助刺激受容体CD28のミクロクラスターを発見 - (理化学研究所) ◇ポイント◇ ・ CD28ミクロクラスターが免疫細胞(T細胞)の活性化をポジティブに制御 ・ プロテインキナーゼCθを呼び寄せ、サイトカイ…

肥満は免疫能を変質させる

肥満の人は感染症に弱いとされているが、それは免疫反応の弱さによるものだと報告が、米国のボストン大学歯学部のSalomon Amar博士らにより、昨年末に発表されました。[1] インターネット上でもニュースが流れたので、知っている方も多いかもしれません。 肥…

10年に一度接種すれば効くインフルエンザワクチンが開発中

今、イギリス・オックスフォード大学で研究されているワクチンは、10年に一度接種すれば効くものになるかもしれないのだそうです。今までのものは毎年接種しなければ効かないのに対して、とても画期的なワクチンだと思います。 イギリスのBBC Newsで紹介され…

私の食生活

かもめさんからリクエストを頂いたので、 一度書き上げてみました。 ただ、実は私は以下の3点くらいしか気をつけていません。 ① 何でもバランス良く食べる (炭水化物・肉・魚・野菜・果物) ② カロリーを摂りすぎない ③ スポーツの後は意識してタンパク質を…

緑化が人の健康を守る可能性

『樹木の多い地区では小児の喘息が少ない』 (薬事日報 2008/5/8) 緑が多いと子どもの喘息が少なくなる、 というレポートが最近出ました(文献参照は最後に)。 樹木が多いことにより、子どもの外遊びが促進されたり、 大気の質が改善されたりするのも健康…

免疫細胞分化の新学説

Tリンパ球の兄弟はBリンパ球ではなく食細胞 -血液/免疫細胞分化の研究に パラダイム転換を導く新学説を提唱- (理化学研究所) ◇ポイント◇ ・ 胸腺内の前駆細胞を1個ずつ解析、Tリンパ球の前駆細胞が大食細胞をつくると証明 ・ Tリンパ球とBリンパ球に共…

牛乳アレルギーを解析 信大の大谷教授に日本農学賞

信州大学大学院農学研究科(南箕輪村)の大谷元教授(58)=食品機能学=が、牛乳たんぱく質の免疫調節機能を中心とした32年間の研究成果が認められ、5日に日本農学賞を受賞した。研究成果は、牛乳アレルギー予防乳開発などにつながるなど、さまざまな商品に…