科学を伝える

中高生向け講座「ナノって何なの?」

昨日は東京理科大学の公開講座「坊っちゃん講座」で、『ナノって何なの? 小さな構造が機能を決める』と題して一席ぶってきました。水と油は溶け合わないのに、水が多いからだの中で油はどのような形で存在しているのか、という話から最新の研究の話までを紹…

「飛ばす」イベントに参加@つくば・エキスポセンター(2019.6)

梅雨に入った6月の首都圏、今週はいよいよ週末に雨雲がぶつかってきそうです。前の週末も雨が心配だったので、7歳の人と久しぶりに行ったのはつくばのエキスポセンター。行ってみると、今月はちょうど “飛ぶ” “飛ばす” をテーマにした特別イベントが行われて…

上野・科博の特別展「大哺乳類展2―みんなの生き残り作戦」に行ってきた

東京・上野の国立科学博物館で、2019年6月中旬まで開催の「大哺乳類展」、初日の朝に7歳・1歳の人たちと一緒に行ってきました。同じ哺乳類と言えど生態も骨格も様々な姿や、1歳の人にとっては「大きい・・・!?」姿を楽しんできました。 行くと決めたのが直前だ…

イルミネーションの横で光の不思議と向き合う@12月のつくばエキスポセンター

首都圏にいると一年は、初日の出で明けてイルミネーションで暮れるように見えます。クリスマスが過ぎるとやや少なくはなりますが、今年末も随所で見られたイルミネーション。そこで様々な色の光が見られる横で、つくばでは光の実験ショーも見る機会がありま…

「4km先の地面は見えない」地球を実感する科学館@つくば

0歳10ヶ月の人も、つくばの国土地理院「地図と測量の科学館」にデビューした、12月上旬の休日。とっても小さい人と来ると、大きく作ってある地球の模型の丸さも一層強く感じられます。 縮尺1200万分の1の地球儀(直径約1m)に、 縮尺20万分の1の地球に描かれ…

鉱物W杯@茨城県自然博物館

ニュースがサッカーW杯で盛り上がっていますので、この大会にちなんで茨城県自然博物館に展示されていた鉱物ワールドカップの写真を。 話題のグループB初戦で対戦したイベリア半島のポルトガル、スペインの両国は、それぞれ鉄重石に黄鉄鉱と鉄を含む鉱物。後…

磁性や惑星の磁場のはなし

研究のサブワークで磁性について理解する必要があり、ついでにひと通り調べてみた。 「磁性(magnetism)」とは、物質が磁場に反応して、他の物質に対して引力(attraction)や斥力(repulsion)を及ぼす性質のことだ。この磁場を生み出すものが磁石(magnet)。「磁…

地球生命や科学の歴史って面白い@上野科博

昨日の土曜日は久しぶりに、東京・上野の国立科学博物館に行ってきました。博物館の中を歩いて回っていると、うわーこれどうなってるんじゃー!? と思わされるいくつものポイントに会うことになります。 今回の一番の目当ては日本館の企画展示、シーボルト展…

最後は参加者のcontributionがすべて、だけど企画設計は大切

ひと仕事おしまい。縁あって、「戦略的連携を目指した研究交流の展開」と題した二大学合同のシンポジウム(→これ/こちらでも)の企画を担当していました。互いが他方の持つ学部・研究科を自身で持たないため、大学を挙げた異分野連携という位置づけの取り組…

「リスクコミュニケーション・パターン集」作成過程と成果を論文発表しました

2012年8月にワークショップを開催し、成果物を2014年2月に『リスク・コミュニケーション「ジレンマ状況 問題+対処法」パターン集』として公開していた研究内容が、日本幼少児健康教育学会誌に掲載されました。 梅澤雅和、難波美帆、石村源生: 「情報提供者…

新規技術を社会展開するためのリスク情報の活用

ひと勝負の時間。昨日、理科大でナノマテリアルの応用のための研究を進めている先生方と、意見交換の機会をいただいてきました。 テーマは、「新規技術の発展と社会受容」 もとい、「新規技術を安全に社会展開するためのリスク情報の活用」 新規の技術や材料…

リスク・コミュニケーション・パターン集を公開しました

1年半が経ってしまいましたが、2012年8月に実施したリスクコミュニケーションのワークショップの成果物を公開しました。 こちらです ⇒ リスク・コミュニケーション「ジレンマ状況 問題+対処法」パターン集(作成:2012夏ワークショップグループ、2014年2月1…

科学情報≠科学

先日、村松秀さんが大学院講義で来校されました。村松さんは、これまでに「生殖異変~しのびよる環境ホルモン汚染」(*1) や「史上空前の論文捏造」(*2)(→関連Togetterはこちら)、「ためしてガッテン」や「すイエんさー」など、数多くのNHK番組の制作で中心…

渡せば興味を持ってくれるだろうという傲慢

プレゼンテーションで同じ事柄について話すのでも、相手によって話し方は変えた方がいいよね。と、最近いくつかの場面で改めて思うことがありました。 正確さだけが、相手に内容や意図がよく伝わるか否かの決定要因ではないのです。 同じ研究結果を学会で発…

科学報道が伝えたいのは科学的な正確さなのか?

昨日NHKで放映されたがんワクチンについての報道は、0歳児をあやしながら私も観ていました。 内容に「??」と疑問を持った点がいくつかあったのですが、それは次のページで「勝俣先生のツイートを中心にまとめ」られているので、興味のある方は是非ご一読く…

第29回FoRAM参加記録-リスクの問題と科学コミュニケーション

2012年10月17日、第29回リスク評価研究会(FoRAM)(@産業総合研究所・つくば)に参加してきました。今回は、リスクの問題をコミュニケーションに焦点を当てて講演を聴講・議論する会でした。 講演者は、横山広美先生、佐野和美先生、小笠原啓一先生の3名で…

身近な問題を科学的に捉えるために-上田昌文さん(市民科学研究室)

先日(2012年6月末)、市民科学研究室・代表の上田昌文さんに、お会いする機会がありました(少しだけでしたが)。 上田さんは、日常生活に伴うリスクと社会が相対するためには、これに係わる身の回りのものをもっと定量的に捉える必要がある、とおっしゃい…

SMC夏期集中ワークショップ2012-講演者メモ

これまでにも1、2度紹介したSMC夏期集中ワークショップ2012「『では、どう伝えればよかったのか』~リスクコミュニケーションの肝を考える~」、無事に盛況のうちに終了しました。 8月10日には長谷川敦士さん(株式会社コンセント)、中谷内一也さん(同志社…

科学の抱えるコミュニケーションの限界と提案

コミュニケーションが失敗するのはなぜなのか。 それは、様々な場面で重要な問いだと思います。そして、次の記事では「科学者とのコミュニケーションが痛いわけ」と題して、科学や法律がすべての問題を解決できるわけではないことをよく表現しています。 「…

科学的判断に内包される「制度知」

今日はここで、一つの論文を紹介します。ある不確実性を伴う事象について、リスクを管理するための制度を策定する(その時点での結論付けをする)に至るまでの科学的議論のされ方について分析したものです。 この論文は、「科学的知見に基づいて実際の社会は…

原発震災と科学報道-SMCシンポジウム

2011年9月24日、早稲田大学で行われたシンポジウム「原発震災と科学報道 記者と科学者の目から」(サイエンス・メディア・センター主催)に参加しました。2011年3月以来の福島第一原子力発電所事故以来、メディアや研究者が学んだこと― それは次のようなもの…

新聞にできて他のメディアにできないこと

朝日新聞特集GLOBE(2011年6月19日版)に、“新聞にできて他のメディアにできないこと”を示唆するアルジャジーラ(Al Jazeera)の報道局長 Mostefa Souag氏の言葉が紹介されていました。政権に目の敵にされながらも報道活動を行ってきた人の言葉で、強い力を感…

メディア・バイアス

松永和紀著『メディア・バイアス』(光文社、2007)の紹介です。 メディア・バイアスとは、「メディアによる情報の取捨選択のゆがみのこと。多種多様な情報の中から、メディアは白か黒かを簡単に“決めつけることのできる”ものだけを選び出して報道するために…

記事紹介「科学コミュニケーションと個人と組織」

日本社会において多くの個人は「何らかの組織に所属して」おり、「組織に雇用されるという関係」にあります。それは、研究者や科学コミュニケーションを担う者も例外ではありません。彼らの仕事を発展させ、より社会に活用されるものにするにあたり、組織と…

東日本大震災の何が想定外だったのか、これから何が起きるのか-SMCセミナー

ここ1ヶ月半の間、「想定外」「未曾有」という言葉を何度聞いたでしょうか。それらはときに、程度を強調するためだけの誤用であったり、実は語り手の無知の言い訳でしかなかったりもします。一方で、本当に想定外であったと言えるものもあります。 本当に想…

「東日本大震災と科学コミュニケーション」科学コミュニケーション研究会・第7回関東支部勉強会

東日本大地震が発生した直後の先月中旬。Twitterで見た一つの言葉を私は今も覚えています。 「いま情報を出せずして、何のための科学コミュニケーションか。」 地震、津波、原発事故。非常事態への対応に必要な専門家(科学者)の知見を集めようとするも、な…

文章の添削で気をつけること

文章が添削されている(もしくは私が添削をする) のを見るとき、いつも気に留めていることがあります。 1) 書き手の意思が尊重されているか 2) 押しつけでなく提案になっているか 3) 押しつけっぽい箇所にはその理由が明示されているか Twitter上で、松村さ…

早大SMCワークショップ「科学を伝える作法を学ぶ」

2010年9月18日~20日、早稲田大学での ワークショップ「科学を伝える作法を学ぶ」 に参加してきました。 「伝える」ことに関心のある人たちの 集まりだったので、いろいろな人が いろいろなことを話してくれました。 それが非常に楽しく、勉強にもなりました…

取材を受ける前に知っておきたいこと(2)-ポイント集

先日私が参加した東大でのセミナー、 「研究者・学生のためのメディア講習会2010 ~取材を受ける前に知っておきたいこと~」 で学んだことを箇条書きで8つ、 記録しておきたいと思います。 ・自らの広報意欲は? 取材する側にはこれがどう捉えられるか? ・…

取材を受ける前に知っておきたいこと

(※ 2011年6月8日、一部改。内容を整理しました。) 2010年7月29日、東京大学で行われた「研究者・学生のためのメディア講習会2010 ~取材を受ける前に知っておきたいこと~」(主催: 東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報委員会)に参加してきました。…