記事紹介「科学コミュニケーションと個人と組織」

 日本社会において多くの個人は「何らかの組織に所属して」おり、「組織に雇用されるという関係」にあります。それは、研究者や科学コミュニケーションを担う者も例外ではありません。彼らの仕事を発展させ、より社会に活用されるものにするにあたり、組織と個人の関係の問題が浮かび上がってきます。

 内容自体は以前から指摘されているようなもので、それほど斬新なものではありませんが、科学研究やその内容の発信が今もこの問題を内包していることは、認識する価値があると思います。

科学コミュニケーションと個人と組織(kenjiitoさん、2011年5月7日)


 筆者は、冒頭に上げたような事例がしく少なからず起こり得ることを説明した上で、次のような問題提起をしています。

 「この個人と組織の矛盾は、本来ならば存在していないはずのものかもしれない。なぜなら、科学研究が公費でなされている限り、それは公共の利益に合致すべき性質のものだからである。これが存在するのは、どこかで制度的なゆがみが生じているからだ。そのゆがみを、どこで、誰の負担で吸収すべきなのか。」

 現状では、この“ゆがみ”をすぐに解決することは困難です。筆者はおそらくそれを認めた上で、「御用組織化」「自己正当化」が「避けることができるかどうか」は結局、「その分野がどれだけ外に開かれていて、かつその内部でどれだけ分野自体の正当性を問いなおす自己批判・自己検討がなされているかによって見ることができるのではないか」と最後に述べています。

 関連する業界での活躍を目指す方には、仕事をする上で大いに参考になると思います。是非ご一読ください。