地球生命や科学の歴史って面白い@上野科博

 昨日の土曜日は久しぶりに、東京・上野の国立科学博物館に行ってきました。博物館の中を歩いて回っていると、うわーこれどうなってるんじゃー!? と思わされるいくつものポイントに会うことになります。



 今回の一番の目当ては日本館の企画展示、シーボルト展でした。上野の科博では、今日が最終日の企画展だったようですが。



 へーと思ったのは、あの大きなトンボの「オニヤンマ」はシーボルトがその標本を作ったことから、学名がそれに由来し Anotogaster sieboldii と付けられているということ。他にはシーボルトの研究ノートの展示も興味深いものでした。研究ノートは一見すると、その人の気づきのメモの単なる書き溜めのようにも見えます。しかしそこには、追究する対象を集めて保存して観察して、見たモノを細かく記録することでこそ誰も知らなかったことを明らかにできる、という研究の原点を見ることができます。

 今回、このシーボルト展に行きたいと思わせた記事が、nippon.comのこれだったのですが、

シーボルト、その光と影(nippon.com、2016年11月30日)

 シーボルトは日蘭貿易に生かせる日本の市場調査に文化や国勢、さらには日本の政治・軍事情報の収集という任務を受けて来日したという話題。科学の一つの発展の契機となる調査が、歴史の流れの中に位置するのだということを認識させられる興味深い話です。科博のシーボルト企画展は今日終わってしまいましたが、関連する特別展は、これから長崎(2017年3月頃)や大阪(2017年8~10月)で開催されるようです。

 一方の4歳児の一番の目当ては、中生代の恐竜の展示。



 化石でしか当事の姿を窺えない恐竜の、なかなか分からなかった羽毛の様子や体表の色。最近の研究で、羽毛や色についての以前の推定が、事実と異なっていたのではないかということが話題になりました。色なんてどうやって推定するのだろうと思っていたのですが、メラノソーム(色素メラニンを含む細胞小器官)の化石、つまり痕跡を分析して今の鳥類のそれと比較することで、当時の体表の色を推定しているんですって。へー。

恐竜の羽毛はショウガ色だった?化石から色素を発見AFPBB、2010年1月28日)

 > Zhang et al. Fossilized Melanosomes and the Colour of Cretaceous Dinosaurs and Birds (Nature 463: 1075-1078, 2010)
小型羽毛恐竜の全身の色を推定AFPBB、2010年2月5日)

 > Li et al. Plumage Color Patterns of an Extinct Dinosaur (Science 327: 1369-72, 2010)

 2016年12月12日追記
「美しい」恐竜のしっぽが琥珀の中に 羽根がはっきり(2016年12月9日)

 > Xing et al. A Feathered Dinosaur Tail with Primitive Plumage Trapped in Mid-Cretaceous Amber (Curr Biol 26: 1-9, 2016)
 ↑ 論文Extended PDFの終盤に載っているSupplementary Figuresがとても美しいです。琥珀の中の化石の画像が。



 好天にも恵まれ、歩いていて気持ちの良い1日でした。


 上野から少し東に行くと浅草で、東京スカイツリーや、足元に浅草寺花やしきも。

「地球に行きたい」5歳児とJAXA展示館(2017年1月)