渡せば興味を持ってくれるだろうという傲慢

 プレゼンテーションで同じ事柄について話すのでも、相手によって話し方は変えた方がいいよね。と、最近いくつかの場面で改めて思うことがありました。

 正確さだけが、相手に内容や意図がよく伝わるか否かの決定要因ではないのです。

 同じ研究結果を学会で発表するのでも、発表の仕方は、学会や分野によって異なるでしょう。
 また、こちらが相手の話を聞きたいときでも、自分の知りたい形や知識レベルに合わせて相手から情報を得られるよう、はじめにこちらの興味や課題意識を相手に伝えることも少なくありません。このようなことは、自分の関心に合わせて、相手が話し方を変えてくれることを期待するからこそ伝えると言えるでしょう。
 (私は、自分が何を言っても言いたいことだけを言ってくる相手とは、よっぽどその話の内容にメリットがない限り、話をしないことにしています。)

 研究者であれば、プレゼンの内容に正確さを持たせたり、根拠を持たせたりすることは最低限のことです。しかし、このようにも思うのです。

 内容が正確であって根拠もあって、自分が面白いとさえ思っているものであれば、聞き手も興味を持ってくれるだろうと思うのは傲慢だよね、と。