2年8ヶ月間のポスドク最後の1日

 今日、ポスドク研究員として最後の1日を終えました。
 2年前、2010年の春に学位を戴いてポスドクになって、まずはいろいろ試しながらいろいろ悩んだ1年間。2年目(昨年)は、この立場での仕事を楽しめ始め、研究に専念できる環境が本当に面白いと思った1年間。
 そうしてポスドクとして研究をする中で、今も所属している研究センターでの助教のお話を戴き、明日付けで着任することになりました。

 「ポスドクって何ですか?」という質問を受けることが最近あったので、一言で答えておきます。ポスドクは、"postdoctoral"。ポスドク研究員とは、つまり学位(博士)取得後の研究員という意味です。

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 学位を取る前と取った後とで一番違ったのは、当たり前ですが結局は、「学位を取るために何か(学位論文)を書くことが将来あるかないか」ということでした。というより、それ以上の変化はないというくらいに、大学院生のときに準備をしていたつもりです。
 「近い将来に学位論文を書く」という制約から解かれ、研究課題を設定し、研究のアイディアを膨らませていくことは、思っていた以上に楽しいことでした。一方で、手に入れたかに見えた自由度と実際の制約との狭間で、研究の課題や方法についての決断がまったくできなくなった時期もありました(とくにポスドク1年目)。しかし、今となってはそれも良い経験です。
 自由さは自身で活用できてこそ、人は本当に自由たり得るものだと改めて思っています。

 自由さや現実的な制約と真剣に相対すること。もちろん、それを許される環境にいさせてもらえたことは、とても幸運なことであったと思っています。

 私は学生のときから、研究のアイディアを膨らませる過程で「“外部”からの意見を聞くこと」「“外”との接点を探ること」を重要視してきました。最近は、大学院生のとき以上にそのチャンスを生かせる場面が増えて嬉しいと思っていますが、これからももっと「実」を得られるよう、工夫をしていきたいと思っています。

 いま持っている2つの不安についても、触れておきたいと思います。

 1つは、これから仕事の内容がどれくらい変わるだろうか、ということ。とくに、来年度にまた所属が少し変わりそうなのですが、その後は学務も担当しそうなので、学外での実験での多い今の生活とどう両立させるかが目下の課題です。

 もう1つは、様々な興味やビジョンを持つ(もしくは、持たない!)学生に相対して、自分が何を示すべきかということ。私は私のできることをするだけ、という想いにブレはありません。しかし、「今の学生の興味やビジョン」が分からなくなったときには、私は大学の教員という立場を離れなければならないと覚悟しています。

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 と、不安に触れてはおきますが、有為な仲間にも支えられ、これからも楽しくやれると思います。そう楽観できる仲間に恵まれていることに、心から感謝しています。

 なお、明日からの助教のお話を頂いたのが、ポスドクでの研究生活が本当に面白いと思っていた昨年度(ポスドク2年目)の末。あぁ、タイミングとはそういうものかと思いました。
 助教という立場での仕事を「面白い」と思えるかどうかは、まだ分かりません。ただ、自分自身が研究を進め・発展させていくことで、身を置いている研究室を "assist" するに足る者として、助教を務めたいと思っています。そして、ダイナミックに変化する学界・業界の色々なものに触れ続け、それを楽しみたいと思っています。

 今後ともU-runnerをどうぞよろしくお願い申し上げます。


 明日からの所属: 東京理科大学 総合研究機構 環境次世代健康科学研究センターの助教として、薬学部・武田研究室に席をいただきます。
 目標: 早寝早起き。腹式呼吸
 趣味: マラソン