今、イギリス・オックスフォード大学で研究されているワクチンは、10年に一度接種すれば効くものになるかもしれないのだそうです。今までのものは毎年接種しなければ効かないのに対して、とても画期的なワクチンだと思います。
イギリスのBBC Newsで紹介されていました。
Universal flu vaccine tests start (BBC News)
これから秋から冬になると、またインフルエンザの流行が、鳥インフルエンザも含めて話題になるかもしれません。シーズンが来る前に、ワクチンの接種を毎年している人も多いと思います。
ワクチンは、その接種を受けると、体の中で『その病原体』をすぐに体内から処理することができるようになり、その病気を予防できるようになるというものです。しかし、このインフルエンザワクチンを毎年接種しなければ効かないのは、ウイルスが毎年、簡単に“変異”してしまい、すぐに自分の体の型を変えてしまうからです。人の体は、ウイルスが新しい型であると、これが『そのウイルス』(ワクチンとして接種された病原体)だと分からず、処理することができないのです。
この今までのワクチンは、人の体がインフルエンザウイルスの「細胞の外」の構造を認識することで、免疫を得られるものでした。これに対して、紹介したオックスフォード大学のチームが開発しているものは、ウイルスの「細胞の中」の構造を認識して、免疫を得ようというものです。
この「細胞の中」の構造は、多くのインフルエンザウイルスで変わらない、つまり「細胞の外」の構造のようにすぐに変わらないので、一度ワクチンの接種を受ければその効果が長く得られるだろう、というものなのだそうです。
まだ体の弱い子どもや、体力が衰えがちな高齢者にとっては、インフルエンザも命を落とす可能性のある大きな病気です。もちろんそれ以外の人でも、罹ってしまったら仕事を数日間以上できないことになってしまう、深刻な病気です。
まだ実用化には最低5~10年の期間が必要とのことですが、この種のワクチンが開発されればいろいろな病気の予防が可能になるかもしれません。紹介した記事でも、HIV、結核、マラリアや癌に対しても応用が利く可能性があると述べられています。
このワクチンもまだ開発中にすぎないので、私は今年も例年通り、手洗い・うがいの励行と体力の強化というお金のかからない方法で、インフルエンザを予防します。でも、ワクチンも研究の進展とともに新しくなっていくんですね。