【デンマーク】4週間研究留学する大学院生を置いて帰路へ

 こちらは今6月1日、木曜の夕方。3日間半の会議を終えて、直後にコペンハーゲンを発つところです。昼すぎの閉会15分後にはバスに乗ってきましたが、その最後の15分まで話すことの尽きなかったことは幸せなことです。


 会期中は曇りがちでしたが、最後に終えて出て見た空はすっきり快晴でした。

 参加した会議は、NanOEHナノテクノロジーの労働及び環境衛生に関する第8回国際シンポジウム」。日本語にすると長くなってしまう表題を見て、日本にはなかなか根づかないトピックスなのかと思わずにはいられません。私は2011年ボストンでの第5回大会以降、2013年名古屋2015年南アフリカサファリ
南アフリカに昔から粉塵の健康問題の研究をされてきたMary Gulumian先生がいらっしゃる)、今回の2017年のデンマークと参加させてもらってきました。

 私がデンマークのグループと共同研究をするきっかけになったのも、2013~15年のこの会での議論があってのこと。この会では今回も偶然に、最後のディナーで「次回の大会長」の先生と同席する機会を得て、私自身の研究の方向性を改めて見つめ直しているところです。

私なりの研究国際展開で考えた7つのこと(2017年1月)
コペンハーゲンの先生と、街の散策とセミナーとディスカッションと(2016年7月)


 ディナーの後、昨年は観光しに昼間に来たクロンボー城の夜景を見ることができました。今回の会場はデンマークのヘルシンノア (Elsinore)、Øresund(エーレスンド)海峡の対岸にスウェーデンが見える町でした。

 さて、会を終えて一目散に会場を出てしまったので、おかげで金曜のうちに「ボクもデンマーク行きたい」と言っていた小さい人のいる家に帰れます。でも「ボク」がデンマークに行くには、自分でご飯を食べたり一人で寝られるようになってくれないとムリです。
 今回学会の直後にとにかく早く現地を発ちたかった理由はもう一つ。これまで5年間以上一緒に研究をしてきて、博士課程3年生になった大学院生を早く置いてきぼりにするためでした。

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 話は戻って、学会に向かうために出発した日曜の朝のこと。この直前3週間は勝負所で、私もどうしようとも忙しくなってしまう日を過ごしていました。出発当日、私は自宅を朝6時台に出るのに久しぶりに、人に起こされてやっとギリギリ予定の電車に乗ることができていたのでした。
 で、同じ会議に参加するこの大学院生にこの朝連絡したところ、帰ってきた返事は「寝坊してしまって・・・10時26分に成田に着きます」。

 ってマジか!!? 彼の飛行機(私と別の便でした)の出発時刻は11時10分。

 私が本人に代わりオンラインチェックインをできたこともあり、あまりにギリギリながら事無きを得られたようでした。が、カウンターが混雑することのある成田の国際線出発ターミナルに着くのが「40分前」というのは、頻繁にダッシュで旅程をこなす私(←でもこのときだって50分前にはチェックインしてる)でもやったことがありません。
 寝坊の第一報に対して、「またそんなネタ作りに励むなんて、何という高等なコミュニケーションテクニック!」とメールを返そうとしながらも(結局、本人がややパニックだったのでそのメールは送りませんでしたが)、さすがに「乗れない可能性」が頭をよぎりました。

 いや、この日予定通りにデンマークで本人と会えてよかったですよ。

 その本人がこれから4週間、デンマークで研究をさせてもらうことになっています。いろいろと経験をして欲しいところですが、もう何か、研究とか向こうにお世話になればいいから無事に帰ってくればいいや、という基本に立ち返らされた出来事でした。

 そのために守るべきは、この5つくらいでしょうか。

・いいもん食べて、夜が短い(夏至間近の北欧なので)けど何とか寝る
・やりたいことを昼にやる
・偶然を装って会う人の存在に注意する
・慣れてないなら暗闇で走らない(道にある段差が見えないため)
カツ上げに囲まれたら「ボスが待ってるからもう行く!」と言い残して逃げる(で済ませてほしいよホントに)

 デンマークで1ヶ月でも滞在して自分も研究し、生活できることがあったら良いなぁと思います。しかし、今回は私にはできずこの学生にできることを売り込んで得た研究交流の機会。私自身は私にしかできないことに拘りたいと思います。


 Hellebo Park 13:34 --(Bus #803)-> Helsingør
 Helsingør 13:58 --(tog mod Kalmar C)-> 15:29 Lufthavn
 30分後ろのバスでも間に合うかな~と思っていましたが、空港行きの列車が20分以上遅れて到着が飛行機の1時間ほど前になりました。余裕って大切・・・。

 デンマークの会議場を出るときに、受け入れ先の先生は「彼の面倒(ケア)をちゃんと見るからね」と(英語で)言ってくれました。その先生と本人を前に、私はもちろん「自分のことは自分でtake careすること!」と茶化してきましたが、先方はその言葉に「こちらでもちゃんとサポートするからね~」という言葉を返してくれる優しい先生です。周りの人が良い人たちばかりで、感謝してもし尽くせません。
(意味:私の軽い悪ノリにも対応させてしまってごめんなさい。)

 多くの人と議論をするのに必要なツールとしての英語。私がそれを得意だったことはありませんが、25歳を過ぎてからOJT(On the Job Training。つまり必要に迫られてもいる)で必死で相手の意を汲み(その必死さは日本語でも変わらない)、私自身の意を伝えられる(その必死さも日本語でも変わらない)ようにしてきた経験が、人生をいくらか豊かにしてくれていると思います。
 そして、自身の気持ちを理解してもらくて必死で言葉を選んでいく経験が、逆に周りの人の気持ちを分かろうとする力も育ててくれるとも。

 経験すべきは英語かどうかということに囚われることでなく、意を共有するのにどんな言葉を使うのかということだと思うのです。

 そんな中で、人の持つ技術や気持ちの価値を最大にできるよう言葉を使えるようになることで、人との関わりをもっと楽しいものにして、そこからもっと大きな価値を生み出せるようになりたいと思います。
 Have a nice "trip"!!



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