私なりの研究国際展開で考えた7つのこと

 今週、専門(生物、農学)を生かして将来アフリカに貢献したいという大学1年生と話をする機会がありました。先月にはちょうど、理科大同窓会の機関誌『理窓』で私の研究の国際展開を紹介したこともあり、専門を生かして見えない壁(*1 )を越えて活動を展開するにはどんな道があるだろうか、というのが意見交換の趣旨でした。

 理窓会誌に掲載された私の原稿(*2)はこれです。

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 クリックしてもらえれば大きく表示されるのかな。しかし、もっとうまくスキャンをできるようになりたい…。と思ったら、機関誌HPにPDFが公開されていました⇒こちら(PDF)

 自身の活動の国際展開(*3)といっても、可能性も多様であればやり方も多様で一つの答えはないだろう(そして私もほんの一部しか分からない)と思います。そんな中で、関係を持ち続けたいと思った人とそうし続けるために私がやってきたことを、一度振り返って文字にしてみました。その結果は7項目になりました。

①自分のいま貴重な時間を何に使うのか
 学びの過程で必要なdutyに割くリソースを最小限(かつ十分)にし、生まれたリソースの余裕を自分のために使う。そこから自分にしか挙げられない成果・アウトプットを出す可能性が広がる。

②大学その他で学び手に入れた知識をどう使うのか
 学びから自分が何をして知識をどう使うのかについて、自分の関心や望む方向が周りの人と違って構わない。むしろ違えばそれが強みになる。人からの評価を気にするなら、自分が貢献したいと思うフィールドの人からの評価を最優先にする。あとは気にしない(という訳にもいかないことは多々あるが、いま自分に見える周りの評価を気にしてやりたいことを抑える、なんてことをしたら本末転倒だし時間の無駄使いだ)。

③自分が貢献したいと思うフィールドとの接点にどう出会うか
 できることとやりたいことからやってみる。そうして初めて、遠くの存在である自分が触れたいフィールドに少しだけ近づける。近づいた距離がほんのわずかでも、そのときその先のフィールドに何があるのか、どんな面白さと問題があるのか、自分が何を知らなくて何を知ってて何を楽しいと思うのかについて結構たくさんのことに気づける。それは動かずに考えついた幻想なんかよりもずっと使えるし、有益な情報になる。

④動けない理由やできない理由はとりあえず無視する。もしくは捨てる。
 何かしようかという話になったときに、できない理由を並べてくれる人の意見はできるだけ遠ざける。できない理由に構う時間と体力を他のことをするのに費やすだけで、毎日がもっと楽しくなりそうじゃない?

⑤自分が何を語りかけるか、何を語るか、何を語り続けるか
 チャンスが目の前に現れてそのことに自分が気づいたとき、自分自身が何を語れるのか。チャンスに触れるかどうかはそれ次第。
 チャンスに触れたとして、そこで自分が何を差し出し提供できるのか。チャンスを掴めるかどうかはそれ次第。
 チャンスを一度掴めたとして、そこで自分が何を語り続けられるのか。自分がそのフィールドに関わり続けられるかはそれ次第。
 語学力は重要。で、言語ペラペラになって何をしゃべるの?

⑥以上受け流してください
 って色々書いてしまったものを読んでくれた方、ありがとうございます。サラっと受け流しつつ、おっ、これは確かにと思ったものがもしあって参考にしてもらえることがあったら嬉しいです。

⑦最後は体力、そして嗅覚。

他国の大学の研究者(Yasser氏)との共著論文発表(2014年11月)
他国の大学の研究者(Hazem氏)と共著論文発表(低濃度ディーゼル排ガス曝露に対する呼吸器応答)(2016年6月)
コペンハーゲンの先生と、街の散策とセミナーとディスカッションと(2016年7月)

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 (*1) 壁は見えなければつまり無いのではないか、という議論は今回はナシにしておきます。
 (*2) 梅澤雅和「研究・開発最前線 (4)」、『理窓』2017年1月号(東京理科大学理窓会)、pp.20-21
 (*3) 国際展開とあえて言葉にしてみると、逆に研究の国際非展開に関心が湧きます。やりたくはありませんが。