正月が明けたら、卒業論文の時期ですね。理科大の修士課程学生は今、来週に迫った修士論文要旨の提出に追われていることでしょう。
悩む後輩の力に少しでもなれればと思い、論文執筆の注意点を私なりにまとめました。後半には、参考になると思われるウェブページを紹介しています。
論文執筆にあたりまず注意してほしいと思うことは、以下の4点です。 ====
1) 前提と解決を目指した課題をはっきりと示すこと
2) 結論を適切かつ簡潔に記述すること
3) 相関関係と因果関係とを混同しないこと
4) 証明された部分と推論された部分とを明確に分けること
この上で、(これは論文に限らないのですが)とにかく「何が言いたい論文なのか」をはっきりと示してください。つまり、自身の手にしたデータは何を目的として取得したものであり、得たデータから何を示すことができたかを明瞭に記してください。
「示すことができた」ことは、どんなに小さいと感じることでも構いません。それにどの程度の価値があるかどうかは、指導教員なり学界なりの評価に任せていいのです。そして、その価値がどんなに小さくともゼロでないことを明示できれば、それはまったく恥ずべきことではありません。
自らが生み出した知に誇りを持って、それを示してください。
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本当は、修士の2年間(ラボに配属されてから3年間)の経験を活かして要旨は難なく書き上げてほしいと思います。しかし、そうはいかない人も少なくないでしょう。
そんな人の役に立つと思われるウェブページを、ブログ『読書猿Classic』の中に見つけました。以下に併せて紹介します。
・卒論に今から使える論文表現例文集(日本語版)(ブログ『読書猿Classic』、2010年12月3日)
「論文には、その構成にも言い回しにも〈定形〉がある。」
「普段、論文を書いていない、というか今まで書いたことがない人は、論文の書き方についてストックがないのだから、例文集から「借文」した方が効率的である。」
・こう言い換えろ→論文に死んでも書いてはいけない言葉30(同、2012年1月3日)
「土壇場で使える「やってはいけない」リスト。」
「解明できた点は必ずしも多くはないが、若干なりとも寄与できたと思われる」に含まれているかもしれない想いに笑いましたが、胸に手を当てると笑えないと自省しました。
・論文のタイトルの付け方、その考え方(同、2010年5月26日)
・・・省く! ほか。
※2014年12月19日追記
・修士論文の作り方
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私は2年前のこの時期に、修士課程の修了間近に控えた学生とのやり取りについて「大学院を修了することの価値」という記事も書きました。しかし、この価値もきっと人それぞれです。私自身、いろいろな価値を見たいとも思います。
第一に、体を壊さないこと。その中で、がんばってね、後輩たち。応援しています。
●論文を書くこと・それを指導することの意義(2011年2月)
↑ 「他人を『読んでみよう』という気にさせる論文にしなければ意味がない」!
●記事紹介‐松尾ぐみの「論文の書き方」(2011年2月)
●英語論文の書き方-文法よりも構成を(2012年8月)
●英語論文を書く際の注意点(初級)(2012年1月)