大学院生の論文が受理されました

 私が大学院生と、妊娠前の脂質過剰摂取が子ども(肝脂質代謝)に及ぼす影響を研究した成果が、国際周産期医学会の公式ジャーナルJournal of Perinatal Medicineに受理(アクセプト)されました。

 このアクセプトは、ものすごく嬉しいことがいくつかあり、自分自身の論文が初めて受理されたとき(→2008年4月30日)と同じかそれ以上の感情を、いま抱いています。そこで、「今回何がそんなに嬉しかったのか」を3点、記録しておこうと思います。

①学生が修士在学中に英語論文を通してくれた
 学生にやりがいを持って実験や論文投稿にチャレンジしてもらい、それが成果になったということが、何よりも嬉しいことです。そのチャレンジの過程では、学生本人が新しくかつ貴重な技術を、自ら習得する場面が数多くありました。
 私は基本的に、学生の論文に記述するアイディアは学生自身にひねり出してもらう(私はそのサポートをする)というスタンスです。そんな中で、学生が修士在学中に英文で論文を通してくれたというのは、驚きというか、正直に言うと少しは感慨に耽ってしまう気持ちもあります。

 先月末に若手の会でお話しした、「なかなか答えを言わない」私の学生とのやり取りが成果になってよかった、という安心感もあります。ただし、他では「答えを言わなかった」ために失敗したことも少なくないので、過信せず、かつ今後も答えを言わずにやっていきたいと思います。
 ※私が学生に「答え」を伝えるのはどういう場合かということも、以前に書きました(→こちら)。

 蛇足ですが、この論文投稿のスケジュールは、投稿計画のマネジメントの実例として、昨年12月の生化学会フォーラム(→「大学院で身につけるべき研究マネジメント能力とは?」)でお話ししたものでもありました。“実例として挙げておきながら、論文原稿がボツになった”などという事態にならずに済んだことも、今日安心したことです。

②初めてトライした分野で論文が受理された
 今回発表した研究内容は、子どもの健康に関わる重要な所見が、出生前後の期間に曝される要因により認められることを示したものであると考えています。論文も、「周産期医学」という私にとって初めての分野のジャーナルに受理してもらうことができました。
 しかし実は、本当にチャレンジしたかった分野でこの論文はrejectを喰らいました。その反省は、いま進めている研究での実験デザインに、学生と一緒に活かしているつもりです。

③最後にreviewerから来たコメントが嬉しすぎる
 これ、ここまで書いてもらったことはないと思うほど嬉しいものだったので、一部抜粋ですが記録しておこうと思います。

>> I think authors' response are quite appropriate and all of questions I asked are well answered and all informations are clearly stated in the article.
>> Especially, ...... which are added by authors would be helpful for readers. I believe that their article is significantly improved.

>> Additionally, authors' reply to reviewers is well described.
>> I strongly expect that the future works will be performed in more effective way, and look forward to reviewing the next paper.

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 さて、ここまで書けば、ものすごく嬉しいこれも過去のこと。次に行こう。仲間と次に見たい世界があります。

Hori H, Umezawa M, Uchiyama M, Niki R, Yanagita S, Takeda K:
Effect of high-fat diet prior to pregnancy on hepatic gene expression and histology in mouse offspring.
Journal of Perinatal Medicine, Accepted on 26 Jul, 2013 [PubMed]

 ほーりー、やったな!

卒業生の論文が受理されました(2013年12月17日)