台北での第一印象と興奮と「建国の父」

 2016年末に台湾に入ったのは12月29日でした。台北松山空港から乗ったMRT(メトロ)では、4歳児が手すりにしがみつくとすぐ、近くの女性が席を譲ってくれました。こういう所で意識しようともそうせずとも、訪れた街の人たちの印象ができていくもんですよねー…と、自身の振る舞いも省みつつ思ってしまいます。
 この次の日には、夕方の列車内で疲れてきた4歳児を抱っこした私に、「日本語好きなんです」と照れながら席を譲ってくれた若者にも出会いました。台湾の親切な人たち、ありがとう。



 台湾への渡航は今回が初めてでしたが、入国時から内心興奮することばかりでした。まずは入境(immigration)のカウンターで、台湾以外のパスポートを持つ人(Non-Citizen)のレーンを指す「持非中華民國護照」の文字(当然写真はありませんが)。そして「中華民國」の入境印に、この国名を表記した貨幣。



 さらに、通りに並ぶ国旗(青天白日満地紅旗)。



 日本国内はもちろん、世界の多くの国では見られない国名の文字やシンボルが溢れる世界はとても新鮮でした。五輪のようなスポーツ大会で見るのも、掲げられるのは梅花旗であり上の旗を見ることはありません。なお、4日間の台湾滞在で中華人民共和国の旗(五星紅旗)は一度も見ませんでした、…はず。これも、争いを最少化するためのはずの統治・政治の負の側面なのでしょうか。




 さすがの総統府。塔には「慶祝中華民國開國一〇六年」の字。孫文を総統として建国した1912年を民國元年として106年目(2017年)の祝いです。

 総統府から少し東、蒋介石を追悼した中正紀念堂の手前に二二八和平公園があります。そして、その南隣にあったのは「白色恐怖政治受難者紀念碑」・・・



 1947年の二二八事件以来40年間にわたり敷かれた、戒厳令の犠牲者の追悼碑でした。自由が尊重されているイメージのある台湾ですが、今に近い形で民主化が実現したのは、李登輝総統時代の1992年に刑法が改正され、言論の自由が認められてからだったとのこと。興味を持って調べるまで私は知りませんでした。


 紀念碑の裏には「和平亭」。「和平」の文字に、厳しい外交や過去の内戦も乗り越えていこうという意思を感じました。

 また、壮大に「自由廣(広)場」と掲げた門が、自由を希求する台湾の姿勢を象徴しているように見えました。ただし、この看板が「自由廣場」になったのも2007年とわずか10年前だったそうですが。



 この門は、広大な中正紀念堂の入口です。中正は蒋介石(初代総統・任期1948~1975年)のこと。





 大陸でなく山地も多いため土地の限られた台湾にあって、この広大さが印象的でした。そして、近代の中国の礎といえる中華民國をまとめたもう一人の重要人物・孫文(初代臨時大総統・1912年)の座像は、國父紀念館に置かれています。



 ここで偶然でしたが、衛兵の交代式を見ることができました。交代式は、戦没将兵を慰霊する忠烈祠の方が有名ですが、この國父紀念館でも。



 交代式の厳粛さの一方で、このように式が公開され一つの観光スポットにもなっている平和の有難さを実感しました。2016年末から、米国ドナルド・トランプ氏の "Interesting how the U.S. sells Taiwan billions of dollars of military equipment but I should not accept a congratulatory call" (Twitter)、"I don't know why we have to be bound by a 'one China' policy unless we make a deal with China having to do with other things, including trade"(ロイター)などの発言が台中関係で問題になっていますが、この衛兵交代式が観光スポットであり続けられることを願うばかりです。


 「(孫)中山」が孫文のことですね。なお、冒頭の台湾ドル貨幣の100ドル札と50ドル硬貨(左)の肖像が孫文、10, 5, 1ドル硬貨(右3つ)の肖像が蒋介石です。



 もう一つ台湾の第一印象というと、着いた日の午後は気温が15℃程度しかなく驚きました。連れの4歳児は半袖一枚だったものの、周りの人たちはみなジャンパーを着ているほど。私は長袖の服を持って来ていなかったので、予想以上の涼しさには戸惑いました。
 それでも、翌日以降は日の出前から16~19℃、朝9時には18~20℃以上と、涼しい日は続かず助かったのですが。



 日の出は6時半と遅かった(年末年始)のですが、朝走っていると所々で、6時ごろから硫黄の温泉のような香りがしてきます。あれは中華の朝食に出るゆで玉子の準備でしょうか。7時ごろからは通勤の人たちのスクーターが一気に増えます。中学生は7時半前に登校しているようでした。


 スクーターの本当に多い街でした。ほとんどすべての交差点の停止線は、四輪車と別に二輪車用のものが設けられていたので、この街を移動するには便利なのでしょう。

 今回台湾での滞在はわずか4日間でしたが、アジアの歴史に興味があると見たいところ、行きたいところが尽きず楽しめました。しかし、帰国後の日本・首都圏…正月明けの連休がさっそく、寒いです。

 

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