徳川家康辞世の句は「浮世の夢は暁の空」


 愛知県の岡崎城跡(岡崎公園)。徳川家康の生誕の地であり、産湯をとったと伝わる井戸もある場所ですね。今年の夏、2023年8月に久しぶりに行ってきました。



 家康の祖父である松平清康岡崎城をここに移したのが1531年で、その11年後の1542年に家康誕生。1560年の桶狭間の戦いで松平が独立した後、1570年に家康は浜松に移りましたが、その後も松平・徳川氏の重要人物が岡崎に拠点を構えました。


 家康が生まれた時代はまだ戦国時代の真っ只中。岡崎にも、天守を中心とする近世城郭の構えはありませんでした。その時代の縄張り図を見ると、そこからの家康の長い道のりを感じられます。


 「人の一生は重荷を負うて 遠き道を行くがごとし いそぐべからず」に始まる『及ばざるは過ぎたるにまされり』という言葉は、どこかで聞いたことがあると思ったら家康の言葉なんですね。


 岡崎公園天守前には「家康公遺言」の石碑も。

 これと別に、辞世の句は何だったっけと先日調べてみたら、ちょっと驚きの内容でした。参考に秀吉の辞世の句は「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことも 夢のまた夢」。ひたすらに儚さを感じさせます。
 そして家康の辞世の句は、「うれしやと ふたたび覚めて ひとねむり 浮世の夢は 暁の空」とのこと。乱世の終結を成し遂げた嬉しさに、目が醒めながらまた眠ってしまうところ。人生の夢はちょうど明るくなってきたところ(暁(あかつき)=夜明け)なのに… というところでしょうか。こんなに明るい辞世の句があるんですか。