2022年7月の連休に行った伊豆の修善寺。その西側にあった鉱山の跡「土肥金山」が面白い所でした。
何と言っても、絵では見たことがあるこの金塊。
ケースの外から手を入れて、これを持ち上げてみようというコーナーがあるのですが、とにかく重い。大きさからして、金属のイメージでもそこそこ簡単に上がるだろうと思いきや、全然上がらないのです。
え、もしかして持ち出し防止のために下に磁石か何かで固定されてる? いや、そもそも金は磁石に付かないし!!?? などと、一瞬でいろいろなことが頭の中を駆け巡る体験がここに。
それにしても、金の塊を触ったのが初めてで、感覚的にもこれほど重いとは知りませんでした。密度はたしかに 19.3 g/cm^3) で、金属の中でも断トツに高いんですよね。(※ ちなみに、銀と銅の密度は 10.5 g/cm^3, 9.0 g/cm^3。純粋な鉄は 7.9 g/cm^3、アルミニウムは 2.7 g/cm^3。重いイメージのある鉛でさえ 11. 3 g/cm^3。)
なお、金よりも密度の高い金属(単体)は、
(1) オスミウム 22.59 g/cm^3(鉛の2倍!)
(2) イリジウム 22.56 g/cm^3
(3) 白金 21.4 g/cm^3
(4) レニウム 21.0 g/cm^3
の4つだけ。これらの原子番号は 76(Os), 77(Ir), 78(Pt), 75(Re) で、金が 79(Au)。周期表で左隣のタングステン (73, W) の密度が金とほぼ同じ 19.3 g/cm^3 なので、第6周期の中央にあるこれらの単体の密度の高さが際立つというものです。金の右隣は水銀 80(Hg) で、常温・常圧で液体という珍しい金属ですが密度も高く、鉄や銅、銀に鉛も浮かせてしまう 13.5 g/cm^3。
とにかく、触って持ち上げてみることで、初めてイメージできた金の重さでした。
●物質の密度 鉄も鉛も液体に浮く(理科年表オフィシャルサイト > 物理/化学部)
この土肥金山は、伊豆に入ってから道の駅月ヶ瀬で案内を見て存在を初めて知り、うちの小学生がこれは行きたいと言うので行ってきた所。歴史の説明も鉱道の跡もあり楽しめました。そして、その小学生が楽しみにしていた砂金採り体験も。
●砂金採り体験の説明動画(史跡土肥金山)
水の中で泳がせていると、混ざる多くの砂よりあっという間に下に行くので、砂金だけを捕集できる。金の高い密度が可能にする技ですね。
土肥金山、江戸時代に佐渡金山に次ぐ金産出量を誇った歴史を持つそうです。
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金山の後は、峠を越えて内浦湾にある伊豆三津シーパラダイスへ。海に直結した屋外のイルカのプールが広々。イルカプールが室内の大洗に慣れていたので、広い屋外の特別感がとても良い水族館でした。
その南隣には、北条水軍の拠点だったという砦の跡も。
湾の向かい、沼津市内の三枚橋城まで迫った武田水軍対策で、ここに北条勢が結集したという歴史があるところです。しかし、武田氏というと甲斐のイメージですが、勢力は駿河の沼津にまで伸ばしていたんですね。しかし、この土肥金山が栄えたのは戦国時代が終わっての江戸時代になってからのこと。目先で権力者が争う不安定な社会では、使えるものも使えないということか。(ちがう?)
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PS. 日本の鉄道150周年ということで、首都圏のJR各駅で様々な案内が見られますが、そのうちの一つに佐渡金山があるのを先日某駅で見かけました。鉄道も乗れるうちに乗らないとなぁ。