和食を普及させたい。さぁどうする?

 和食は2013年12月に、「日本人の伝統的な食文化」としてユネスコ無形文化遺産に登録されました。これは脂質(油脂)だけに頼らず “旨味” を活用している点で、脂質摂取が過剰になりがちな “現代の” 食事と比較して健康に良いとされます。つまり病気、とくに生活習慣病を予防する上での鍵になると。

 では、それを普及させるのにどうするか。そのために、「学者さん」や「官僚さん」の多数はどういうことを目指すのか、というと…

 例えば「『和食』紹介リーフレット」を作ったり(農水省、⇒こちら)、「和食の優れた点を見直し、和食に関するエビデンスの蓄積を進め、健康に資する和食を次世代に継承する」
「和食の勧め」を宣言 日本病態栄養学会、2015年1月10日@47NEWS)ということを学会で目標に挙げたり。

 和食を大切にする理念には、私も100%賛成ですし、理念を表に打ち出すことは、もちろん大切です。が、良さをアピールするだけでは足りないと思うことがあります。それは、

 「なぜ、日常生活の中で和食を活用しづらい場面があるのか」

ということ。それに付随しがちな負の部分に光を当てないと、生活習慣に使いやすい選択肢を作り、病気を予防できるようにする、という実は取れないと思うのです。そうしないと、和食が「歴史的な文化として継承される」ものになってしまい、「和食を普及」させることも、それによって「未病を促す」ことにもつながらない。

 手間を省ける和食の加工食品・冷凍食品が、もっと普及したらいいのに、と思います。食事には手間も大切なんだ、などという声も聞こえてきそうです… が、普及させて実を得るには、なかなか手間を掛けられない人にどう使ってもらえるか、という点がポイントなのではないかと思うのです。
 もしそんな和食があったら、我が家ではそれを普段使うことはなくても「困ったときでも和食OK!」にもっとなるのですが。

 さらに、和食を世界(の日常の食習慣)に広める、と目指すとき。その場合も、ただその良さをアピールするだけでなく、現地の習慣や文化の中で定着することの障害は何かを考えないと始まらない。

 それにしても、出汁が効いて塩辛くなく、いろいろな具もチャチャと入ったものを短時間に作れる味噌汁は、本当に素晴らしいと思います。