日本幼少児健康教育学会-次世代健康科学・健康教育を考える

 2012年2月18~19日、日本幼少児健康教育学会第30回記念大会(春季:野田大会)に参加しました。この学会は、子どもの健康についての教育・実践の成果を報告し、その教育・実践の在り方を議論するものです。その場は、「子どもの健康・疾病」を研究課題とする私の研究の「出口」を改めて考えさせられるものでした。

 この学会で議論が交わされたのは、主に次の2点であったと思います。

・子どもの心身の状態と生活習慣との間にある重要な相関関係は何か
・「生活習慣や運動の教育」「環境教育」がどうしたら効果的なものになるか

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 前者の「子どもの心身の状態と生活習慣との相関関係」を調査することの目的は、子どもの生活習慣を画一的にするためのものでは決してありません。(というより、画一的にするためのものではないことを私は望みます。)
 調査の目的は、子どもにアドバイス(指導)を行う現場での注意点を明らかにすることであると、私は理解しました。また、子どもに示すアドバイスに根拠を持たせることであるとも、その目的であると思います。
 ただし、人を調査して明らかになることには限界があります。その限界を打破できるような研究をすることが私たち基礎研究者の使命の一つであると、私はこの学会に参加して感じました。

 後者の「生活習慣や運動の教育、環境教育」については、私がこれまで「環境教育」の可能性を見落としたことに気づかされました。この健康教育では、教育の受け手が以下のことを実感できることが重要になります。

●「生活習慣を変えることで自分の心身が変わること」を知ること
●「運動をすることで自分の心身が変わること」を知ること

 これに併せて、環境教育にはこのような意義があるのですね。

●まずは「自分の周りの環境」について知ること。そして「身近な環境が自分の健康と関わっていること」を知ること。それによって「生活環境の重要性」を知ること。

 これらの健康教育の意義については、私もよく考えたいと思いました。

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 今回の学会では、私も「妊娠期の脂質摂取と小児の健康に関する基礎的研究」という講演で登壇させていただきました。
 ここではまず、妊娠期の栄養摂取と子どもの心身の成長に関する知見を紹介させていただきました。次いで、健康教育学と薬学とをつなぐことで、“次世代健康科学”を今後どのように発展させたいかという将来の話もさせていただきました。

 ※ 講演中、「おまけ」としてスライドを準備しながら時間の都合で割愛した発達障害の話題については →こちら

 この学会に参加した2日間、今までに参加したことのある学会とは違う分野の方々と、多くの議論や意見・情報交換をさせていただくことができました。学生の頃に授業を受けた体育の先生と、研究者同士という立場で再会できたことも嬉しいことでした。

 私の研究の出口、「どのようにして子どもの健康に貢献するのか」について改めて考えさせられる、有意義な2日間でした。