花粉症対策 1. 内服薬(飲み薬)

花粉症対策
1. 内服薬(飲み薬)
2. 水なしで飲める薬
3. 目薬

今年も花粉症が始まりましたね。
そう、私も・・・。

花粉症の薬には、アレルギーを抑える成分が入っています。
これによって鼻や目のかゆみが抑えられるのですが、
副作用で眠気が出てしまったりして、
困っている方も多いかもしれません。

今は、病院で処方してもらえば、
新しく開発された、眠気の少ない良い薬が買えます。
処方せんで薬を買えば保険も利くので、
日常的に薬を使わなくてはいけない場合は、
診察料を入れても病院に行った方が安いかもしれません。

逆に、市販の薬を一箱買えば一シーズン乗り切れるような人は、それを使えばいいと思います。私もその一人です。
というわけで、花粉症の市販薬をまとめてみようと思います。
今回は、内服薬(飲み薬)についてです。

 

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 まず、花粉症対策の市販薬全体を大まかに解説しておきます。

 まず、現在そのほとんどは『1日2回』です。商品によっては、「1日2回タイプ」を謳い文句にしているものもありますが、ほとんどは1日2回で済み、3回飲まなくてはいけないのはむしろ少数です。飲む回数が少なくて済むということは、それだけ効果が持続するということですが、それは花粉症の症状を抑えたい場合にとても重要です。なぜなら、効果の持続しない薬では、薬が切れたときには症状に悩まされることになりますが、効果が持続する薬では、その怖れが少なくなるからです。そこでここでは、用法が1日3回になっている商品はリストから外します。
 逆に、この点でポイントの高い薬が一つあります。ストナリニS(佐藤)。これは1日1~2回で効きます。1日1回でも効くことになっているのは、この商品だけです。これは、錠剤が速く溶ける部分とゆっくり溶ける部分との二層構造になっているために効果が持続するのです。実際に、私も薬を使うときはこれを使っていますが、私は2011年の花粉症をこれ(第一世代の抗ヒスタミン薬・下記)だけでは抑えられず、ザジテンを使っています

 次に、薬の成分について解説します。花粉症の薬には、次のような成分が入っています。(色は、下に各商品の成分を挙げた所と一致しています。)

① 抗ヒスタミン
(クロルフェニラミン、カルビノキサン、ケトチフェン、アゼラスチン)
② 鼻汁分泌抑制薬1
(プソイドエフェドリン、フェニレフリン)
③ 鼻汁分泌抑制薬2
(ヨウ化イソプロパミド、ベラドンナアルカロイド、ダツラエキス)
④ 抗炎症薬
(プロメライン、リゾチーム、グリチルリチン酸、トラネキサム酸)

<① 抗ヒスタミン薬>
 まず、花粉症の薬はすべて、緑内障又は前立腺肥大症の患者さんは使用できないと書いてあります。これは、そもそもアレルギーの症状を抑える抗ヒスタミン薬が、同時に抗コリン作用も及ぼしてしまうために、緑内障や排尿障害の症状を悪化させてしまうためです。この患者さんには、手間が掛かりますが病院に行って別の薬や方法で症状を抑えることになってしまいます。
 この抗ヒスタミン薬のうち、ここでは4つの成分を挙げました。このうちケトチフェンとアゼラスチンは、「第二世代抗ヒスタミン薬」と呼ばれる比較的新しいもので、眠気の副作用も小さいと言われています。これを使った市販薬は、ザジテンAL鼻炎カプセル(ノバルティス)、パブロン鼻炎カプセルZ(大正)、ハイガードエーザイ)です。この3つは、他の成分を含んでいないこともあり、使いやすいかもしれません。

※ 2008/03/05 追記
 ケトチフェンやアゼラスチン(第二世代抗ヒスタミン薬)には、ヒスタミンH1受容体拮抗作用の他、ケミカルメディエーター(アレルギー性炎症の生じている部位で局所的に産生され、アレルギー反応を促進する生理活性物質)の分泌(遊離)を抑える作用もあります。

<② 交感神経刺激薬>
 また、花粉症の薬のほとんどは、高血圧、心臓病、甲状腺機能障害、糖尿病の患者は使用できないと書いてあります。これは②に挙げた成分によるものです。②の成分は、交感神経(α1受容体)を刺激し、鼻の毛細血管を収縮させることで、鼻の充血や鼻汁の分泌を抑えます。しかし、この作用が同時に血圧を上げてしまうなど、基本的な代謝に影響してしまうのです。このような患者さんも、病院に行って薬を処方してもらった方が安全です。どうしても市販薬を使う必要のある場合には、先ほど「(抗ヒスタミン成分以外の)他の成分を含んでいない」として挙げた3種類の商品を選ぶと良いでしょう。

<③ 副交感神経遮断(抗コリン)薬>
 ③は、抗コリン作用により鼻汁の分泌を抑える成分です。これらも、先ほどの抗ヒスタミン薬で解説したのと同様の理由で、緑内障前立腺肥大症の患者さんは使用できないことになります。

<④ 抗炎症薬>
 ④は抗炎症作用を持つ成分ですが、このうちプロメラインとリゾチームは、卵アレルギーの人は過敏症状が出てしまう可能性があるので注意してください。

<妊娠中の場合>
 ①(抗ヒスタミン薬)のうち服用の安全性が確認されているのはクロルフェニラミンです。比較的新しい成分であるケトチフェンとアゼラスチンは、まだ使用経験が少なく安全性が確認されていません。また、②の成分は妊娠中に服用を避けた方が良いものです。妊娠中の場合は市販薬の使用は避けるべきですが、この条件をクリアする商品はと言われたら、一応、コンタック600STグラクソ・スミスクライン)が挙げられます。(当然、この商品にも妊娠中の方は医師又は薬剤師に相談するように記載があります。)
 2011年12月28日追記: ジルテック(医師の処方せんにより使用できる薬)は、妊娠中でも使ってよいと産科で教えていただきました。とにかく、妊娠中の薬の服用はOTCを避けることが賢明です。

<子どもの使用>
 多くの商品は15歳未満服用不可になっています。一部の商品については、7歳以上で使えることになっていますが、カフェインが入っているため、その使用はベストな選択ではないと思います。子ども用の抗アレルギー内服薬で、カフェインが入っていないのは、こどもパブロン鼻炎液S(大正)です。子どもの花粉症薬が欲しいと言われたら、私はこれを勧めます。

<その他の注意点>
 まず、他の鼻炎やアレルギー用の飲み薬や、かぜ薬、せき止め、乗り物酔い止めを併せて飲まないでください。成分や作用が重なってしまい、副作用の危険が大きくなります。
 また、アレルギー用の目薬や点鼻薬は併せて使っても問題ありませんが、眠気の副作用は出やすくなるので注意してください。(車の運転などは避けた方が良いです。)


 最後に、いくつかの商品とその成分を挙げておきます。いろいろな商品がありますが、その中で私が勧めたいのは以下のものです。薬選びの参考になれば幸いです。

ストナリニS(佐藤)
 クロルフェニラミン
 フェニレフリン
 ダツラエキス
 “時間差作用の二重錠”(1日1回でも効く)

ザジテンAL鼻炎カプセル(ノバルティス)
 ケトチフェン(眠気の副作用小さい。)

パブロン鼻炎カプセルZ(大正)
 ケトチフェン(眠気の副作用小さい。)

ハイガード(エーザイ
 アゼラスチン(眠気の副作用小さい。)

 (※ 上の3つは眠気などの副作用が小さいとは言われていましたが、実際には眠気などが強く出ることが少なくないので、注意が必要です。

コンタック600ST(グラクソ・スミスクライン
 クロルフェニラミン
 ヨウ化イソプロパミド
 プロメライン

こどもパブロン鼻炎液S(大正)
 クロルフェニラミン
 ケイガイ流エキス
 シンイ流エキス


花粉症対策
1. 内服薬(飲み薬)
2. 水なしで飲める薬
3. 目薬

花粉症に対する抗ヒスタミン薬の使い分け(青島周一氏 @DI Online、2018年3月23日)

 

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