市販のかぜ薬が使えない例

 前の記事で挙げたように、インフルエンザやA型肝炎など他の病気の可能性がある場合は、市販のかぜ薬は使わずに医師の診察を受けてください。他にも、次のような場合は受診をお勧めします。

・発熱が3日以上続いている場合。
・39℃以上の発熱が続いている場合(インフルエンザの可能性あり)。
・市販の薬を5~6回使用しても、症状が改善しない場合。

 さらに、持病を持っている場合にも、その病気によって使うことのできないかぜ薬があります。また、妊娠中だけでなく授乳中の人の使用ができない薬もあります。
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・糖尿病、高血圧、甲状腺機能障害、心臓病
 これらの持病を持つ人は、市販のかぜ薬を使うことができません。痰や咳を抑え、呼吸を楽にしてくれる成分として、「塩酸メチルエフェドリン」や「塩酸プソイドエフェドリン」が入っている薬があるのですが、この成分が、血圧や血糖値を上げたり、心臓に負担をかけたりしてしまうことがあるためです。現在、市販のかぜ薬にこれが入っていないものはないようです。

・喘息
 咳を抑える成分として、「リン酸コデイン」や「リン酸ジヒドロコデイン」が入っている薬があります。これらの成分は喘息の発作を重くしてしまうことがあるので、喘息による咳が出ている人は使ってはいけません。喘息持ちの方は気をつけてください。
 これが入っていない薬は、パブロンL、パイロンα、ベンザエースA、新コルゲンコーワなどです。子ども用のかぜ薬では、パブロン<学童用>、ムヒのこどもかぜシロップがあります。

緑内障前立腺肥大
 花粉症の薬の記事でも書きましたが、これらの病気を持つ人は、アレルギー薬などによく入っている「(マレイン酸)クロルフェニラミン」や「クレマスチンフマル酸塩」、「ジフェンヒドラミン」、「ジフェニルピラリン」が入っている薬を使えません。
 これが入っていない薬は、パブロンゴールドA、パブロンエース、パブロンS、パブロンS小児液、パブロンSゴールド、パブロンSCなどです。

・玉子アレルギー(卵白アレルギー)
 痰を取る・切れやすくする成分として、「(塩化)リゾチーム」が入っている薬があります。これは卵白由来のタンパク質を成分としているので、玉子アレルギーを持つ人は使えません。
 これが入っている薬には、パブロンゴールドA、パブロンS、パブロンS小児液、パブロンSゴールド、パブロンSC、新ルルA、新ルルAゴールドなどがあります。注意してください。

・妊娠中
 漢方薬を選択肢の一つとして考えるといいでしょう。かぜの引き始めで、熱が上がり始めて背中がゾクゾクするような症状の場合には、葛根湯がよく効きます。また、引き始めではない場合は、小柴胡湯などが良いそうです。

・授乳中
 解熱鎮痛薬の「イブプロフェン」や、咳を抑える「リン酸コデイン」「リン酸ジヒドロコデイン」は、母乳中に出てくることが報告されています。赤ちゃんに悪影響を与えてしまいますので、これが入っている薬の使用は避けてください。
 これが入っていない薬は、パブロンL、パイロンα、ベンザエースA、新コルゲンコーワエスタックGT、新エスタックW、コンタックなどです。


 以上、市販のかぜ薬の注意点を挙げてみました。ただ本当は、かぜを引いた後の対処と同じくらいかそれ以上に、かぜを引く前=普段からの生活で自分の体調を管理することの方が大切です。って、分かってはいるんですけどねー。

 

かぜ薬を買う前に(武田薬報2008冬『症状に合わせた薬の勧め方』から)

 

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