水虫薬

 雨の多い4月ですね。まだ梅雨ではないのに・・・。梅雨といえば、春が終わってこの時期が来ると、ジクジクしてくるのは水虫。最近、うちの母も軽く罹ってしまっているみたいです。
 だんだん、ドラッグストアでも水虫の薬をアピールし出しています。よく見たら、いろいろあるんですね。どうやって選べばいいんでしょ?

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 市販の水虫薬には、抗真菌薬(水虫の原因菌を殺す薬)、かゆみ止め、抗炎症薬などが入っています。スーっとする感じを与えてかゆみを感じにくくする「メントール」や、角質のうるおいを保持したり薬の浸透を良くしたりする「尿素」が入っているものもあります。各製品に含まれる成分は最後に示しますので、参考にしてください。

 水虫の根本=真菌を消すのは、言うまでもなく「抗真菌薬」です。複数の種類の抗真菌成分が使用されているようですが、私が調べた範囲では、通常の水虫の治療に関わる成分ごとの違いはないように思いました。「1日1回」を謳い文句にしている製品が目に付きましたが、騒がなくてもほとんどの製品は1日1回で効きます。むしろ、選ぶべきはその「剤形」です。軟膏か、クリームか、液剤かのどれが適しているかということです。

 まず、効果を考えるのであれば使うべきなのは軟膏クリームです。これらは浸透性も貯留性(皮膚に成分が長くとどまる性質)も良いようです。患部が乾燥している場合はクリームでいいですが、ジクジクしてしまっている場合には軟膏が良いでしょう。
 液剤は、患部がジクジクしてしまっている場合には使用しない方が良いみたいです。刺激が強いそうなので、それを感じる場合には使用を避けるべきです。また、スプレータイプの製品もあり、これらは手を汚さなくて済むという利点がありますが、スプレーは必要以上に薬をかけてしまいがちになるという欠点があるそうです。

 

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 水虫薬の使用には、独特の注意点がいくつかあります。

 

● 水虫薬の選び方
  ジクジクしてしまっている場合 → 軟膏
  乾燥している場合 → クリーム又は液剤

● 水虫薬使用の注意点
 ① はじめの1週間で改善しない場合は、薬が不適切
 ② 見かけは治ってもすぐに使用をやめないこと
 ③ 広めに塗ること

 

① はじめの1週間で改善しない場合は、薬が不適切
 適切な薬を使えば、水虫に伴うかゆみなどの症状は数日~1週間程度で軽くなっていきます。使用開始後2~3週間以上経っても症状が軽くならず、逆に不快な症状が強くなる場合などは、薬が合っていないと考えられます。この場合は、異なった種類の抗真菌薬が入っているものに切り替える必要があります。
 そもそも水虫ではなく足がかゆい場合などに、水虫薬を使用しても効きません。水虫は水虫薬でしか治せませんが、水虫薬は水虫にしか効かないのです。アレルギー性の皮膚炎や湿疹の場合には、それに合った薬を使わなくては意味がありません。市販の水虫薬を使う前に、一度は検査をして診断をしてもらうべきだと思います。
 皮膚科で診断をする際に、診断の前にすでに水虫薬を使用していた場合は、その旨を医師に伝えてください。たとえ水虫を持っていても、水虫薬の効果で水虫の原因菌が除かれていると、一時的にその菌が検出できなくなる恐れがあるためです。

② 見かけは治ってもすぐに使用をやめないこと
 かゆみなどの症状は比較的早い時期に収まりますが、ここで薬の使用をやめてしまうと残っている原因菌が再び増えてしまい、症状が再発することになってしまいます。菌を完全に死滅させるために、根気良く使用を続けてください。足の裏などの角質層の厚い部分では、半年から1年以上使用を続けないと完治しないこともあるそうです。

③ 広めに塗ること
 患部の周囲にも原因菌がいるので、かゆみを感じる部分よりも広めに塗ることが、水虫薬使用のポイントの一つです。

 

● 生活上の注意点
・人に移さないために
・人から移されないために

 

 水虫を人に移さない、人から移されないためには、以下のような対策が有効になります。
 まず、人に移さないためには、次のような注意が必要です。

 

・マット(お風呂場など)をこまめに取り替える。
・スリッパの共用を避ける。
 ちなみに、洗濯物を一緒に洗っても問題ありません。一方、人から移されるのを避けるためには、「温泉に行ったときなどに素足で歩いた後、足の裏をふく」といった対策が、水虫を移されるのを防ぐために有効になると思います。水虫治療中のうちの母も、皮膚科の先生からその点を教えられたと言っていました。

 夏は素足で生活したい季節なので、水虫を持っていたら、その前に何とか直しておきたいところですね。

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 最後に、主な製品の成分を一覧にしました。

ラミシール(ノバルティス)
 テルビナフィン(抗真菌薬)

ラミシールプラス(ノバルティス)
 テルビナフィン
 クロタミトン(かゆみ止め)
 グリチルリチン酸(抗炎症薬)
 メントール
 尿素

タムシール(小林)
 テルビナフィン(抗真菌薬)
 リドカイン(痛み・かゆみ止め)

ブテナロック(久光)
 ブテナフィン(抗真菌薬)
 ジブカイン(痛み・かゆみ止め)
 クロルフェニラミン(かゆみ止め、抗ヒスタミン薬)
 グリチルリチン酸(抗炎症薬)
 メント-ル

ダマリンL(大正)
 ミコナゾール(抗真菌薬)
 クロタミトン(かゆみ止め)
 リドカイン(痛み・かゆみ止め)
 グリチルリチン酸(抗炎症薬)
 尿素

タムチンキ/タムチンキパウダースプレーEX
 オキシコナゾール(抗真菌薬)
 リドカイン(痛み・かゆみ止め)
 クロタミトン(かゆみ止め)
 グリチルリチン酸(抗炎症薬)
 メントール

ウィンダム第一三共
 ラノコナゾール(抗真菌薬)

ピロエースW(第一三共
 クロトリマゾール(抗真菌薬)
 ピロールニトリ
 クロタミトン(かゆみ止め)

タムチンキパウダースプレーC
 クロトリマゾール(抗真菌薬)
 リドカイン(痛み・かゆみ止め)
 グリチルリチン酸(抗炎症薬)
 クロルヘキシジン(消毒薬)


※ 塗り薬だけではなく、石鹸もあるんですね。

コラージュフルフル液体石鹸(持田)
 ミコナゾール(抗真菌薬)

 

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