深秋の夜の空、11月11日は重要な日+星雲・星団観察

 11月11日は何の日でしょうか。とあるお菓子の名を思い浮かべる方もいると思いますが、天文好きは知っておきたい重要な日であるということを、私は今日知りました。

 11月11日は、ティコ・ブラーエが1572年に超新星を観察し、その観測を始めた日だったのです。(⇒ティコの新星 SN1572@Wikipedia)

 この「ティコの新星」の名で知られる超新星。私はその話を小学生のときに知ったときに、変わらないように見える星空にそんな劇的なことが起こるのかと驚いたのを覚えています。新星というのは、星が寿命を迎えて大爆発を起こし明るく輝いたことで、夜空に新しい星のように現れたものをいう言葉です。

 当時新星が現れた場所は、今も秋の星座として見えるカシオペア座。ここに1572年、マイナス4等級という金星並みに明るい超新星が突如現れます。ティコ・ブラーエは新星の存在に11月11日に気づいて、その精密な観測を始めました。11日よりも前に新星の存在に気づいていた天文学者は他にもいたものの、精密な観測を続けた結果「この新星が星空の中で位置を変えずに存在した」と結論づけたのはティコであり、そのためにこの新星はティコの新星と呼ばれるに至っているのだそうです。
 なお、日本ではこのとき戦国時代でしたが、誰か気づいて記録はしていなかったものでしょうか。

ティコ・ブラーエ(デンマーク天文学者Wikipedia)

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 今回「11月11日はティコ・ブラーエが超新星を見つけた日」という話を知ったのは、つくばのエクスポセンターでした。エクスポセンターのプラネタリウムでは他にも、

 (1) ペガスス座の「秋の大四辺形」のうち北東側の角の星の名が、「馬のへそ」を意味するという「アルフェラッツ」であるということ
(※ただし、この星自体はペガスス座でなく、アンドロメダ座の星とされているのですが。)
 (2) みなみのうお座にある、秋の唯一の一等星「フォーマルハウト」の名の意味が「魚の口」であること

などを知り、夜空に当てはまる星座の姿に想いを馳せました。そしてこの土日は、実家に行って秋の星空観察。月が下弦のため深夜まで昇らないという絶好のコンディションで、星雲にまで望遠鏡を向けて観ることができました。

 11月の星空で望遠鏡を向けた星雲・星団は、
アンドロメダ銀河 M31
・オリオン座大星雲 M42
プレアデス星団 M45(すばる)

 アンドロメダ銀河を望遠鏡で捕らえると、「銀河の形が見えるかも」とワクワクしますが、残念ながら望遠鏡を通しても口径12.5cmでは、銀河の中心部分がボーっと雲のように見えるだけです。まさに星「雲」。天の川銀河から最も近い隣の銀河とはいえ、そこまでの距離は「220万光年」もあります。写真でその銀河の形を捉えたり、隣に映るM32やM110を分けて見たりするには、もっとスペックの高い観察道具が必要なのかと気づかされます。
 その銀河は、上述の「馬のへそ」秋の四辺形の北東側の頂点から、アンドロメダ座の星の並びを頼りに探すことができます。20時ごろには天頂高くに上がる11月は、その見ごろ。もっと星雲の見方が分かっている人と一緒に観てみたいものです。

 オリオン座大星雲も、星雲は白く見えるだけでピンクがかった姿は分からず。町外れとは言え都心から50km圏内の空では、見える程度にも限界があるようです。しかしそれでも、星雲の中で生まれている新しい四重星トラペジウムはしっかりと見ることができます。
 蛇足ですが、最近はオリオン座の赤色巨星ベテルギウスを見つけると、「その大きさは木星の軌道半径の1.5倍・・・」などと話し出す人が我が家に1名。



 また、「ベテルギウス」とGoogleで画像検索すると、なかなかに見入ってしまう絵がたくさん出てきます。

ベテルギウスGoogle画像検索)

 プレアデス星団「すばる」の方は、おうし座にある明るい星団。目で見ても分かるので「望遠鏡で見なくても・・・」と思いつつ、5歳の人のリクエストで望遠鏡を向けました。そうしてみると、予想外に多数の星が光り輝いて見えて、やはり夜空の見所はそれぞれ一度は、望遠鏡で見てみるものかと思いました。

 そして、スペックの高い天体観察道具というと、今年は大きな望遠鏡での観望会に筑波実験植物園さしま郷土館ミューズ・資料館と行ってみていました。そこで見られる星雲や星団の姿を期待しつつ、また行きたいものだと思います。

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