「火星」@横浜・三菱みなとみらい技術館

 先日、冥王星で一番大きい衛星の名前は、カ・・・なんだっけ・・・と思いうちの5歳の人に訊いたら、「え、カロンでしょ」と即答。
 また、「木星には水星より大きい衛星があるんだよね。イオだっけ?」と訊いたら、「違うよガニメデでしょ。あと、土星のタイタン」(*1)。そう、まるで自分が実物を見て比べてきたかのように確信を伴った答えが返ってきました。外遊びと恐竜に加えて宇宙。何かを好きになって夢中になったときに、人を大きな力を手にするのだと思わされます。

 先週末はその長男とお友達と、横浜・三菱みなとみらい技術館の火星の特別展示に行ってきました。目当てはこの日だけの企画だったという、「ダジック・アース 火星」。



 ダジックアースは、球面のスクリーンにプロジェクターで像を投影することで、球体を回しているかのように画像を見せてくれるプロジェクトなのだそうです。凹面に中央から像を投影するプラネタリウムとは違う仕組みの球形スクリーンということで、私自身も面白く見てきました。

 球面に投影する画像を回すようにPC操作するためには、専用の画像データも必要になるわけですが、そのコンテンツはダジックアースのHP「ダウンロード」から入手し利用できるようです。すごい。

Dagik Earth 4次元デジタル地球儀HP

 火星の地形図などの元画像を提供しているのは、NASAのMOLA(the Mars Orbiter Laser Altimeter)のホームページ(⇒こちら)。惑星探査機で得たデータから、こんな美しい絵まで作れていたのかと驚かされます。

MOLA HPの「IMAGES」



 この日の企画での火星の説明も面白く、例えば、大気は薄いとはいえ二酸化炭素が多いことから、地球の植物のような生物が産まれたら環境が変わったんだろうなぁとか。もうちょっと重くてモノ(気体を含む)を引き寄せる力が強く、太陽からのエネルギーを大気中に保持できるようだったら、やっぱり環境がもっと変わっていたんだのかなぁとか(火星の重力は地球の38%)。地殻変動がもう少し活発だと、そのエネルギーや生み出される物質がまた新しい環境を自然に作りだし得たのかなぁとか。いろいろなことを想像させられました。
 上の「火星の地形図」が正しいとすると、火星表面のクレーターが長い期間残るほどに地殻は安定していて、かつ低地にはある程度の時代まで、表面を平らに削る水か何かがあった想像していていいのでしょうか。またどこかで別のデータを当たってみたいと思います。

+++

 このダジックアース、球形の発泡スチロールのようなものとプロジェクターさえあれば誰でも使える、というのがウリのようです。ただ・・・


 球形のスクリーンに映像範囲をピタッと合わせるのは慣れている人でも難しいようです。像が球からはみ出してしまうことで、赤道の線などが端で顕著に歪んでしまっているのが分かりました。ただ、こういうズレの完璧な補正を求めてしまうと、"無駄に" 生産や維持のコストが上がってしまうものなのかもしれません。

三菱みなとみらい技術館HP

 この技術館はコンパクトな造りでしたが、企画の上映会場の他にも「フロンティアシアター」が、宇宙にあるものを動的に映し出していて大人気でした。


 フロンティアシアター: 大勢の小さい人たちが、自分たちのすぐ横を動く雲やオーロラ、地球や人工衛星スペースシャトルを追い掛けられる空間。私たちも気づけば20分間ほどこれに見入っていました。

 暦は9月も下旬。暖かくて外で星を観るにもよかった夏が終わってしまいます。これから首都圏郊外の空気も景色も少しずつ変わってくると、いよいよスポーツの秋ですね。

 いや、スポーツは秋に限りませんが。

カナダで日食観察(2017年8月)
「地球に行きたい」と言う5歳の人とJAXA展示館(2017年1月)
つくばエクスポセンターでプラネタリウム(2017年4月) -ここで紹介された探査機ニューホライズンズからの冥王星の画像が衝撃でした。
鏡とレンズを通して天体観察(2017年4月)
 -この頃から、うちに何度も何度も太陽系の絵を描いている人がいます。
地球より小さいのにマグマや火山もある木星の衛星・イオ(2018年3月)
液体金属の対流から発生する磁場とか(2018年1月)

+++

(*1) 太陽系の衛星と水星の「平均直径」比べ
 1) ガニメデ 5262km(木星の衛星)
 2) タイタン 5151km(土星の衛星)
 ● 水星 4880km
 3) カリスト 4821km(木星の衛星)
 4) イオ 3643km(木星の衛星)
 5) 月 3474km
 6) エウロパ 3122km(木星の衛星)
 7) トリトン 2707km(海王星の衛星)
 次いで準惑星のエリス、冥王星、・・・