4月末、いつも私の父が準備している小さな畑に里芋を植えながら、土と空気と太陽の光とで成長できる植物の力に想いを巡らせていました。
誰にとっても、生物に必須の元素CHON(C:炭素、H:水素、O:酸素、N:窒素 *1)のうちCやNをどう確保するのかというのが問題で、ヒトなんかだと他の肉や植物といった有機物を食べることでそれらを確保するわけですが。一方の植物は空気中の二酸化炭素からCを(*2)、土にある無機態の窒素化合物(硝酸塩やアンモニア塩)から必要なNを得て、自らの体とできるわけです。アンモニア塩をアミノ酸に取り込ませてタンパク質をつくり、空気中にある二酸化炭素を環境中のエネルギー(多くの場合は光)で体をつくっているんですね。(食虫植物とかはちょっと違うのかもしれませんが。)
こちらは1月末。
もともと土遊びが大好きな人は、畑を耕すのも何のその。
こちらは4月末。もともとハサミ工作の好きな人は、畑での収穫も大好きです。
で、人は畑で植物が実(おいしく食べられるもの!)をうまくつけてくれるように色々と工夫をするわけですが。日当たりを調節したり土に栄養分を与えたり、畝を作って水はけを調節したり、土を軟らかくしておいたり養分や太陽光をとってしまう雑草の根を除いたり、温度を調節したり霜から葉を守ったり支柱を立てたり。
しかし、丁寧に整備し保護すれば欲しい実がたくさんつく、というわけでないのが栽培の難しいところです。5歳児がイチゴの畝に黒いビニールをかけたのが、1月末。
4月になって実ができるようになったのですが、周りを見てみると露地に霜除けもせずに生やした株の方が、たくさん花がついているように思うこともあります。また、畝に一列に苗を植えた場合以上に、二次元的に株が広がっている方が花も多く付いているように見え、ミツバチなどの受粉を促してくれる虫が多く来ているようにも見えます。むむむ。
それでも、空気や土が大切なのだということには変わりがなく、そうやって生き物が育まれるのだということも畑は実感させてくれます。
そんな畑では、イチゴの実がちょうど食べ頃になった早朝に、それを先にカラスや虫に食べられてしまうということがよく起こります。当然、露地にそのまま株を広げただけの場合には、実もどんどん持って行かれてしまっていて赤い実が見当たりません。
それは畝に植えた場合でも同じことで、実を食べたい人にとっては対策のしどころ。受粉を促す虫は入れるが、実を食べてしまう鳥が入りにくくなるようなネットをかけてみたり。しかしイチゴは本来、遠くに種子が運ばれて子孫が次に育つように実をつけるので、ヒトでなく、実をつつきながら種子を遠くに運んでくれる鳥に実を見つけてもらう方が目的は叶うことになるんですよね。むむむ。
結果はともあれ来月も楽しみに見に来ようと思います。
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(*1) 他にもP:リン、S:硫黄、Ca:カルシウム、Na、K、…、Fe:鉄、Zn:亜鉛と必須な元素は10以上あるわけですが。
(*2) 光合成では還元的ペントースリン酸回路(カルビン‐ベンソン回路@ミトコンドリアのストロマ)により炭素固定が進みます。
※半月後追記: イチゴ畑の工夫は大成功でした。