効果的に共同研究を進めるための、私なりのポイント

 効果的な共同研究の進め方とは?

 先週末の生化若手・中四国支部「秋の集い」で、事前にいただいていた質問の一つにこれがありました。これは答えたいと思いつつ答えられていなかったので、少しばかりここに書いておこうと思います。

 答えは兎にも角にも、共同研究者の創意工夫や技術を消費するのでは全然ダメで、いかに互いのそれを生産することを促せるか、ということ。自身だけでなく、互いのメリットをいかに俯瞰的に捉えられるか、ということ。この点に懸かっていると私は考えています。
 互いの創意工夫や、各々の研究課題の発展、異なった視点からの価値ある解釈を促せること。その雰囲気さえあれば、共同で取り組んだからこその知の創出が必ず起こります。逆に、共同研究のメンバーのいずれもが、互いの知恵や技術を消費するだけの存在にならないこと。これが何より大切です。

 つい、「あれを自身の研究に活かしたら・・・」などと、他人の技術が魅力的に映ってしまうことが起こることもあります。しかし、それを消費するだけの存在にならないこと。その研究仲間のアイディアや技術を大切にしつつ、“あちら” の発展に自身がどう関わることができるかに意識を置けること。それがすべてです。

 1ヶ月半前、私は共同研究を計画する面白さをベースに、「誰も見ていない真実を見つけて描く―研究の極意」というエントリを書きました。もちろん、相手のアイディアや技術が面白いと思えなければ、共同研究をしようという動機は起こり得ないでしょう。
 しかし、いつも同時に次の点に配慮できると、共同研究をより効果的に進めることに、自身が関わることができるはずだと思います。

 自身の側のアイディアや技術の面白さを、相手と共有できているか? と。

 この意識を頭の片隅から外さず、常に自問すること。そして、共同研究「者」と関わるということがどういうことか、その関わりのプロセスで自分がどう感じて、自分がどうそれに関わりたいと思うか。そういったことに素直に向き合うことにも、共同研究を経験することの大きな意味があると思います。

エラくなる前に「人」が見えるようになる経験を(2014年10月19日)