ECIS(コロイド・界面科学会)@ソフィア

 ソフィアではECIS 2013(第27回欧州コロイド・界面科学会)に参加していました。コロイドの学会で、私たちは生体高分子のナノ粒子化についての研究成果を発表してきました。

 Taniguchi R, Suzuki K, Yoshida A, Yoshikawa Y, Umezawa M, Takeda K: Novel fabrication method of biocompatible nanoparticles for theranostic applications.
 Sep 2, 2013 @ECIS 2013

 コロイド化生体高分子についての研究発表は、他は極めて少なかったです。生体高分子は複雑なので、コロイドとして詳細を分析するのが技術的に容易でないためでしょうか。
 そもそも、生体高分子材料は安価ではありません。そのため、これをただ単に分析するのではなくコロイドとしての分散状態を良好に保った上で、その構造や特性の詳細を明らかにしようとするのは、それなりの予算(に適う目的)と技術がなければできません。

 そんな中で、タンパク質-金ナノ粒子の複合体を、材料表面環境のセンサーとして活用しようという、Munish Chanana氏らの面白い研究発表がありました。


 Chanana M, et al.: Protein Coated Gold Nanoparticles: Towards Biological Interfaces on Nanomaterials.

 “タンパク質は良好な単分散ポリマーである、モノマー(アミノ酸)の組み合わせによりpH、イオン濃度、重金属、光、酵素などで性質が変わるタンパク質を設計できる。”
 ・・・ってその通りですけれどもさ。いや、興味深いテーマです。

 この発表も、現在までのところはin vitroでのデータが中心でした。今後、生体に投与して到達部位の微小環境を検出できるようになると、生物・医学の分野での大きな発展があるものと思われます。

 私の先輩も以前から、金ナノ粒子とタンパク質などを組み合わせて、医学応用を目指した新しい技術の開発を進めていました。


 Suzuki K, et al.: Tunable plasma lipoprotein uptake/transport across the blood–brain barrier.
 Colloids Surf A (2013)
 特許P2013-35793A「分散物及び脳神経変性疾患治療薬」

 今回発表してきたのも、この続きにあたる内容です。

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 さて、昨日はソフィア滞在最後の夜。無事に発表を終えた後、ブルガリアに縁のある料理を頂いてきましたよ。



 軽くスパイスの効いた、キョフテ(小さなミートボール)のスープ。ビールはブルガリアのZagorka。



 メインのラムの付け合わせには、ヨーグルト(!)



 こちらが3泊お世話になったホテル。次の仕事に行くため、今朝ここを発ちます。最後の朝(夜明け前)を走ってきました。





 ソフィアで学生がスイッチを入れて頑張ったところで、次は私の番。
 またお会いしましょう。