2012年末の論文発表報告

●子どものからだと心白書2012
 pp.38-40「大気中の微小な粒子と子どもの健康」

 2012年2月の学会で再会した野井真吾先生(日本体育大学)とのご縁で、子どもの健康をテーマにした白書のうち3ページを書かせていただきました。
 前半は子どもの健康と環境との関わりについて、次いで大気中の微小な粒子の健康影響について、後半はそれらを疫学的に調査する大規模研究「エコチル調査」の解説をしています。

 (※2013年1月9日追記: 本稿執筆にあたっては、多くの人に読みやすくなるようにと、私の共同研究者でもある有為な学生が原稿の編集をしてくれました。おかげで好評も頂いており、心より感謝申し上げます。)

 本書では他にも、子どもの健康を考える上で有用な多くの知見や統計データに加えて、各々に丁寧な解説が付けられています。子どもの健康に関心のある多くの方に読んで頂きたい一冊です。

(私も早速追加購入しました!)

子宮内膜症研究(モデル病変形成初期におけるインテグリン及び細胞外マトリックスの発現パターン)

 Expression profile of extracellular matrix and adhesion molecules in the development of endometriosis in a mouse model. by Umezawa M, Saito Y, Tanaka-Hattori N, Takeda K, Ihara T, Sugamata M.
 Published in Reproductive Sciences, 19(12): 1365-1372 (Dec 2012) [Table of Contents] [PubMed]

 マウスの腹膜に子宮内膜組織を自家移植すると(用語解説は→こちら)、ラミニンγ2のmRNA発現が他と比べて非常に早いタイミング(自家移植24時間後)から明らかに発現亢進します。この分子が病変形成にどのように関わっているのかが、とても興味深いと思っています。
 内容の一部は、2010年3月末の日本薬学会で発表していたものです。データの精査に時間がかかってしまいましたが、2012年4月に受理され、先月この論文の掲載号が刊行されました。

●ナノ粒子の機能的ターゲットとなる脳領域の探索(遺伝子発現データから)

 Effect of fetal exposure to titanium dioxide nanoparticle on brain development - Brain region information. by Umezawa M, Tainaka H, Kawashima N, Shimizu M, Takeda K
 Published in Journal of Toxicological Sciences, 37(6): 1247-1252 (Dec 2012) [J-STAGE] [PubMed]

 内容は先日ここで紹介したもの(→こちら)ですが、これも論文の掲載号が先月刊行されました。
 今日、一つ目の「白書」を大学で受け取り、とても嬉しく思っているところです。