知の市場「ナノ材料総合管理」で登壇します(2013.10.24)

 2013年10月24日(木)18時30分から、早稲田大学西早稲田キャンパスにて、「ナノ材料の次世代健康影響-疾病予防を目指した研究と取り組み」という題目で登壇します。

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知の市場(連携:早稲田大学規範科学総合研究所
 -> 2013年度後期開講科目
(PDF)
 --> ナノ材料総合管理・シラバス
(PDF)
 (講座は2013.10.3-11.28 木曜18:30~)
 ※ 参加(受講者)登録は→こちら
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 私はナノ材料の健康影響のうち、とくに職業・環境的曝露経路として「吸入・経気道曝露」によるリスクに注目しています。粒子(状物質)の吸入曝露による影響・毒性評価については、そもそも統一された基準がない(これを作るのも難しい)という状況であり、ここには大きな課題があると思うからです。

 そのような課題のある中で、それでも粒子(ナノ材料を含む)の健康リスクを管理し、回避しようとしたとき、効果的な対応としてどんな策が取れ得るのか。そうして、どうしたらイノベーションと安全性とを両立させることができるのか。それが私の関心のある点であり、いま研究しているところでもあります。

 とにかく、既存の枠組みに当てこむのではなく、知恵を利かせて「効果」を求める必要があると思いますよ。
 誰にどのような選択肢を提示できるのか。そこにどのような根拠を付与できるのか。まずはその辺りが、重要なポイントになると考えています。

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 10月24日の講義では、ナノ材料の生体影響(ハザード)、とくに次世代影響について科学的知見を概説した上で、「職業衛生・環境衛生の観点から労働者を守るための対策」を考え、論じたいと思っています。

 解決の糸口になる可能性のある法的枠組みについては、『子どものからだと心白書2012』に書かせて頂きました。
(pp.38-40「大気中の微小な粒子と子どもの健康」)



 また、ナノ材料リスク管理への課題についての私の考えは、2012年10月の岩波『科学』に書かせて頂きましたので、こちらもご参照ください。
(pp.1098-1103「ナノ材料による次世代健康影響とリスク管理への課題」→紹介エントリ



 「ナノ材料リスク管理」は問題が多い一方で、新しいアイディアの活かせる(求められている)課題であると思います。

 10月末の早稲田で、ここに課題意識を持った多くの方々と出会えることを願っています。