“過去最悪”の就職氷河期に考える

「今年は就職活動が大変だ」と言われ、
それが何年も続く状態が続いています。
それはなぜ起こってるのでしょうか。

構造的な問題を指摘し、なるほどと思わせる記事が
Chikirinさん(1月11日に続き、再びの紹介です)の
ブログにありますので、紹介いたします。

1) 1000万人を正社員に!とか(2008年8月2日)
2) 正社員ポジションはどこへ?(2008年8月3日)
3) “仕事より人が多い”ということ(2009年9月8日)

1つ目は、「時給の仕事」は「生活できる仕事」に
ほとんどの場合なり得ないが、「生計の担い手」で
あるにも関わらず「時給の仕事」をしている人の数が
約1000万人(2007年)。
日本における非正規雇用者1889万人(2007年)のうち、
50%前後の人は不本意な雇用形態を余儀なくされている。
これを「問題ではない」という主張は通用しない、
という内容。

2つ目は、最近20年(1987年~2007年)の間に
正規雇用者の数は増えたが、正規雇用者、
いわゆる“正社員”の数は減っていない。
労働人口に占める正社員の割合」も
この間に急激に下がったわけではなく、
“正社員になりにくい世の中になった”というのは
国内全体で言えば正しくない。
しかし、年齢別に見ると「55歳以上の人口が増え、
この層での正社員数も増えた(言葉を変えると、
働かざるを得なくなった?)一方で、25~34歳の
正社員数が減ったことが判る」という内容です。

3つ目は、筆者もおっしゃる通り少し“えぐい”記事。
しかし、だからこそこの記事に書かれている
「世界まれに見る高齢化社会が進展していて、
 社会構造がこれだけ大きく変わろうとしているのに、
 新しい産業の一つも生み出せないなんてどういうこと?」
という部分に考えさせられます。
変わっていく社会構造の中で、新しい産業を生み出し、
それを成り立たせていく工夫が求められるのです。


そして、訪れている現状が「過去最悪の就職氷河期」。
Chikirinさんも、そんな時代に“若者”の取れる答えを
提案しています。

就職氷河期 サイコー!(2010年3月9日)
(オイっ、というタイトルですが・・・。)

「答えは下記しかない。
 1. 「雇ってもらう」ことをあきらめ、起業する。
 2. 若者にしかできないこと(高齢者にはできないこと)で食っていく。
 3. 仕事のある中国やインドに行って働く。」


この時代に皆さんは何を考え、何をしようと考えますか?

最後に、Chikirinさんに感謝を込めて宣伝します(笑)
・ちきりんさん著『ゆるく考えよう』発売(2011年1月20日

* Chikirinさん参考記事 *
明日のニッポン!(2007年8月7日)
 日本は“パワーシニアの国”になるのか?
条件が揃いすぎ(2007年8月9日)
 ―“若い人の成長が早い”米国では、「経験知をなんでもマニュアル化して、学校で教え、意識的に若い人を育てよう」としている―


この追記欄では、朝日新聞のオピニオン欄にあった
同社編集委員のコラムからの言葉を紹介します。
(2011年1月18日朝刊15面より、一部改)
-----
人材を絶やすことは、経済に打撃を与える。
それにも関わらず、国内では若い労働力を
絶やしてしまうような事態が続いている。
今春、卒業予定の大学生の就職内定率は57.6%と過去最低。
求職活動を続ける人は、
「経済情勢など運が悪いとは思うけど、
 卒業の時期を僕らは選べない」
と、絶望に近い社会の壁を感じている。
-----

この憂うべき状況には、様々な要因が絡んでいます。
しかし、仕事に就けず悩む人が多くいる一方で、
仕事が多すぎて家庭との両立に悩む人も多くいます。
このギャップはなぜ埋まらないのでしょうか。

大学の中にいる者としては、
学校はその教育の中で何ができるか、
学生が仕事に対する個々の考えを持てるよう
何をすべきかについて、考えさせられる問題です。


※ お読みいただきありがとうございます。
 恐縮ではございますが、本欄は誰もが閲覧可能で
 あるため、感情的な主張や文脈と関係ないコメントは
 削除させて頂きます。