書籍紹介『ゆるく考えよう』

 ちきりんさん著の『ゆるく考えよう』(イースト・プレス、2011)を読みました。何を目指して仕事をするの? 本当に目指したいものを勘違いしてない? もっと楽しく生きられるのでは? と問いかけてくれる本です。

 私がまず目に留めたのは、2章「『自分基準』で生きる」。この言葉は私も強く賛成するところです。そこから「自分は何が欲しいのか」、とくに「どんな自由が欲しいのか」を意識することで、自由による幸せを効果的に手に入れられると思うからです。

 そして、この章でとくに面白いと思ったのは「仕事・家庭・趣味「3×3分割図」で人生設計」という部分
(pp.42-48)。関連する記事が、ウェブ上でも紹介されています。

仕事・家庭・趣味のどれを大切にするの? ―“3×3分割図”で人生設計(誠:ちきりんの“社会派”で行こう!、2010年1月25日)


 このウェブページでも本の中でも示されているのは、1)猛烈サラリーマン、2)家事に協力的な共働き夫、3)趣味に生きる人、4)働くお母さんの3×3分割図の例。本の中でとくに私が注目したのは、次の部分でした。

 夫には子育て時期にも「趣味」という個人の時間が少しは確保されるが、お母さんの方はこの時期、純粋に個人の趣味に使える時間はほとんどなくなる。たとえ夫が協力してくれても女性の負担は膨大。

 いま本著を読んでおいて、よかったと思います。今夜は自宅で、続けたい趣味についての「家族会議」でした(すぐに終わりましたが。笑)。もし自分に「仕事と家族と個人の趣味」の3つが揃っていたら、それは稀なことであり、最も感謝すべきことの一つであるのだとも思います。

●関連エントリ:とある講演会の感想(Chikirinの日記、2011年6月28日)
 「もう十分豊かだ。無理して経済成長なんてしなくていい。」という意見には全く賛成できない。船の上半分に乗っている人はそれでいいだろう。しかし、社会が成長し変化しなければ、船は下の方から順に沈んでいく。(実際もうかなり沈んでいて、大変なことになっている人が増えている。) 「自分は今くらいでいいと思う」というのはあまりに無邪気すぎる。


 他に、「こだわりの対象」からの「自分からの距離」
(pp.74-78)、「逆バリと先読み」(pp.137-140)、就職や転職時に問われるのは「あなたは何がアウトプットできるの?」であるということ(pp.149-156)など、面白くて一気に読んでしまいました。
 アウトプットの考え方については、著者ご自身が最近のブログでも書いています。

インプットかアウトプットか(Chikirinの日記、2011年10月30日)


 『ゆるく考えよう』の最後に書かれていることの一つは、「旅の効用」。それを著者は、自らを「こだわり」から離して、「『自分がいかにつまらない存在か』を思い出させてくれること」であると記しています。これも、私が賛成するところです。
 そして、それを自覚した上で、何をすることを選ぶか?

 “楽しく生きている人代表”としてオススメします。是非読んでみてください。

『ゆるく考えよう』(Chikirinの日記、2010年12月20日