パネルディスカッションにおけるモデレーターの役割

先日、私がモデレーターを務めた経験に加えて、
手元にあった一つのパネルディスカッションの
議事録を参考にしながら、書き上げてみました。

次のブログ記事もとても勉強になりました。
・『パネル限界論
 (ブログ「IDEA*IDEA」より、2007年11月26日)


●モデレーターの役割

1) パネリストのプレゼンに対して質問をする

始めの方で行うことが望ましいでしょう。
聴衆に、事前のプレゼンに対する
理解を深めてもらうことが目的です。

2) 疑問を提起する

「~~はどのような~~を持っているのか?」
「~~をどのようにしていくことが望ましいか?」
「~~について、最も~~な問題は何か?」

3) 発散しがちな話題を収束させる

「~~に話題を焦点を当てたいと思います。(+疑問提起)」

4) 論点のまとめ付けをする

「~~は~~ということかと思います。
 それを踏まえて・・・(+疑問提起)」

モデレーターはパネリストや他の参加者の
言葉をつないで討論を促していく役割が求められます。
「この議論はここまでにして、次の質問は・・・」
などとして、討論を分断させてしまうことは
望ましくありません。

5) 事前に参加者から集めた質問をパネリストに振る

パネルディスカッションの最後に行うことが
望ましいでしょう。
最後に、モデレーターが総括することができるよう
準備をしておくことも望ましいと思います。


●モデレーターが発言する際の注意点

何より注意すべきことは、
話題の推移をきちんと管理することです。
これに尽きます。

議論の途中で、質問を振らずに
論点のまとめや展望のみを述べてしまうと、
議論が拡散してしまう恐れがあります。

逆に、「いったんまとめた論点」や
「多くの人の共有する展望」をもとに
パネリストに自由に発言してもらいたい場面では、
質問の形にせずに発言をすることも有効かもしれません。


●他に必要なモデレーターの注意点

・最後のまとめをどうするか、
 最後に参加者(来場者)に何を伝えるかを
 考えながら討論を進めていくこと。

・まとめのための時間を事前に計算に入れておくこと。

・話し過ぎないこと。
 話し過ぎるパネリストを制止できること。


●どのような人がモデレーターを務めるべきか

・パネリストと聴衆の間に立てる立場にいる人

モデレーターは両者の思いを理解し、両者が考えを
共有できるよう促せなくてはなりません。
パネルディスカッションを行う価値は、
パネリスト(識者)が聴衆に伝えようとしたメッセージを
聴衆がより理解しやすい言葉に変えたり、
討論を通してそのメッセージにさらなる
インパクトを加えることに尽きる
と思います。

・テーマに関する識者であるパネリストの発言や
 それが意図するものを理解できる人

モデレーターは識者との討論の推移を
ある程度以上に管理することが求められます。
パネリストの意図するところや会場の空気を読んで
討論を進めていけなくてはなりません。


●他に、パネルディスカッション開催にあたり
 注意すべき点
 ―事前に把握しておくこと―

・パネリストがパネルディスカッションの前に
 プレゼンをするかどうか?
・事前にパネリスト間で議題が練られているかどうか?
・会場からの質問を受けるかどうか?
 受けるタイミングは議論の最中か、その後か?
・パネリストが議論中に使える資料を用意しているかどうか?


私は、今月初めに行われた生化学若い研究者の会の
第50回生命科学夏の学校」で、
パネルディスカッションのモデレーター
(パネラーという扱いでしたが)を務めました。

モデレーターはどんな役割を担うべきで、
何をすべきであるか。
私は一度経験することのできた今、
これについて自分なりに考えたことを
記録しておきました。

もしどこかで次のチャンスに会ったときには、
前回よりはうまくこなしたいと思います。