若手研究者のミニ会合(勉強会)

大学などの研究組織で研究に従事していると、
当然ながら、組織の都合にぶつかって
動きにくくなることが少なからずあります。

いわゆる“構造”の原則にぶち当たるのです。

それは、比較的早くに分かってくることもあれば、
個々人の観察ではなかなか見えない部分もあります。
私たちは、それをどのように知り、
その中でどう行動していくべきでしょうか。

2010年6月26日、
「若手研究者が」「継続的に」集まるミニ会合に
参加してきました。
そこでのフリートークの時間で、
このような話題に長い時間が割かれました。

“構造”の原則を不便に感じたとしても、
それを、今の私たちがすぐに変えることはできません。
そんな私たちが、“構造”について議論することは
果たして不毛な努力なのでしょうか。

私たちは、この集まりの中で、
この“構造”について関心を持ち、
情報や意見を交換し、考えを共有しつつあります。
それは、決して不毛ではないという結論に至りました。

すべての決定事項には、
意外とちゃんとした理由があることも多いのです。
大なり小なり、その決定権を持つ“構造”。
その中で、たとえどう行動するとしても、
“決定”の原則を知っているか否かでは、
大きな違いがあるだろうと思います。
そこに関心を持つことには、
少なからず意義があるでしょう。

私たちの勉強会は、今後も続く予定です。


最後に、今日のミニ会合で私が紹介した
書籍や文献を、ここに挙げておきます。


●『科学技術教育・研究をめぐって
  ~東京理科大学理事長 対談集~

 編集: 『科学フォーラム』編集委員長 溝口文雄
 発行: 東京理科大学 総合企画部広報課
 制作: 株式会社近代科学社

東京理科大学理事長の塚本先生が
標題のテーマで様々な先生と対談した記録が、
理科大の月刊誌『科学フォーラム』で
連載されたことがあります。
これは、その記事を集めて作られた書籍です。

●「理科教育のグランドデザイン -何が問われるか」
 (岩波『科学』 2010年5月号・特集)

本誌に、標題の特集が組まれています。
特集内の冒頭の記事は、
「理科教育のグランドデザインを描くために」
というテーマでの座談会の記録です。
座談会の記録らしい、危険かと思われる表現(言葉)も
少々見られますが、一読の価値はあると思います。

この中で小倉康氏(国立教育政策研究所)が、
青少年に見られる理数系の学習意欲の低下傾向は
“先進国”共通の懸念事項であると問題提起し、
これにどのような対策が必要であるかについて
議論される必要があると述べています。

●「学術研究というビジネスの裏側」
 (岩波『科学』 2010年5月号・有田正規氏コラム)

現在の(日本の)科学研究が抱える課題を、
学術雑誌の経済的側面から解説しています。
個人的にはこの記事の中の次の一節が
強く心に残りました。

「研究者が何気なく商業誌に投稿してしまうがために、
 35%ものマージンを取る外国企業に億円単位の
 購読料を各大学が払わされるのは馬鹿げている」

私も以前に、このブログで
日本にも・・・研究成果を発信する雑誌が
 あることの意味を、忘れてはいけない

と書いたことを思い出しました。

●「日本学術会議の最近の活動と今後にむけた決意」
 (岩波『科学』 2010年6月号・金澤一郎氏記事)

日本学術会議の役割は、次の4つであるそうです。
1. 政府や行政機関、社会や国民に対して
 見解や意見を発信すること
2. 国際的なアカデミーの1つとして活動し、
 地球規模の課題に対する学術的な解決に
 寄与すること
3. 国民の科学リテラシーの向上に寄与すること
4. 科学者間のネットワーク形成に寄与すること

今後、さらに活発に活動してほしいと思います。