挫折を乗り越える「エコ・セルフ」

8月29日(土)の東京新聞朝刊、
24面「こころ」に、強く共感するコラムがありました。
挫折や絶望を乗り越えるための、
ヒントを示したものでした。


「絶望の正体」 阿満利麿氏コラム
 ~まずは、他者との共存を認めること~


コラムは、

「ひとたび『絶望』や『無力感』にとりつかれると、
 果たして一歩も動けなくなるのであろうか?」

という問題提起で始まります。
そして著者は、「自己実現」という言葉が
「“近年の流行語”だが」、という一文を入れ、
この言葉が乱用されていることを示唆しています。

著者は、「主体的であること」と「自己実現」を
混同しないことを促し、一方で、
“主体性”を伴わない「自己実現」を、

『「他者から切り離された自己というものが
 存在し得ると信じ、その自己主張を貫くことが
 正義だと思う愚かさ』

であると批判しています。


ここで、私の考えを入れると、
挫折や絶望などの精神的苦痛は、多くの場合、
自分が勝負したい場所と勝負しなくていい場所を
区別できないために起こるのだと思います。

スタンフォード大学
"The Big Difference between Winner and Loser"
にも、同じような一節がありましたね。

人との係わり合いにおいても、同じことが言えます。
人との関係のうち、自分ではどうにもできない部分に
固執し、自分のするべきこと・できることを
見失ってしまう例を、これまでに何度か見てきました。

自分がどうなりたいか(自己実現したいか)の像を、
人との関わり合いの中で描くことで、
絶望や大きな失敗を招く危険は小さくなると思うのです。


紹介した新聞のコラムは、
このような一文で締められていました。

『絶望』を超えるのは、『エゴ・セルフ』
 (自己への関心だけが肥大化しているエゴ)から
 『エコ・セルフ』(他者との共存を認める、
 エコロジカルな自己)への転換

であると。

 

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