6歳の人の将棋練習日記

 祖父からのプレゼントで、3ヵ月半ほど前に「スタディ将棋」をゲットした6歳の人。まずは楽しんでいて何より。将棋には元々、私と一緒にこの動画を見て「面白そう!」と好きになっていたようです。

加藤一二三、米長邦雄、羽生善治による将棋解説YouTube

 6歳の人の将棋練習。初めは普通に駒を並べて行う将棋の他に、駒の動きに慣れるゲームとして将棋版に付属の説明書にあった「歩なし将棋」を始めました。これが初めに気に入ったようです。初っ端から駒がダイナミックに動きますからね。
 加えてチャレンジするのは、一手詰めの詰め将棋。失敗例は、何で失敗したのか(何でその駒ではダメなのか、何でその場所ではダメなのか)を一緒に考える。

 他に、こちらは玉だけとか、玉と金一つだけ(18枚落ち)とか、玉と金二つだけ(17枚落ち)で、しかも落とした駒は小さい人の持ち駒にする形で、少しずつ将棋に慣れていく。落とした駒をすべて下手(したて)の持ち駒にすると、上手が玉だけ、もしくは18枚落ちだと、必ず三手で勝負をつけられます。一手目で必至、二手目をどう指しても三手目で詰み、という形で。
 初めは、こちらの玉の隣に金が一枚あると、それだけで指し手に迷ってしまって三手どころか、何で進めてもなかなか玉を詰められないこともあります。あまりにもこちらに駒が渡ってしまうと、いくら18枚落ちでもこちらが勝ってしまうよ、と。

 そこから16枚落ち、14枚落ち、それを下手は歩なしでなど、いろいろやってみました。しかしね、どこのマスに自身と相手の駒がいくつ効いているかだけでも、やっぱり初めは難しいんですね。



 練習を始めて2ヶ月後の2018年5月13日、羽生善治さん監修の『はじめての子ども将棋』(西東社、2017)を6歳の人に読んでもらいました。初めの初めは、初手の考え方、それからやはり、一手詰めの詰め将棋。そこから。



 この本には「将棋すごろく」(サイコロの代わりは振り駒)や「はさみ将棋」というゲームも紹介されています。これも将棋の駒に慣れ親しむのに良いようです。

 同じ頃、6歳の人の希望でこちらは飛車角香と歩の13枚落ち、本人は歩なしという条件でやってみました。この条件ではこちらの駒が多いので、こちらは王手がかかっているときを除いて「玉金銀桂香歩・・・」の順に必ず動かす、という縛りを(6歳の人には伝えずに)かけてゲーム。なかなか良い勝負になるようでした。

 別の日には、これまた6歳の人の希望で初めて4枚落ちで練習することも。飛車角香落ち。歩が並ぶだけで難易度が上がり、本人パニック。駒を取るために駒を打っても、次の一手で取ることを忘れ、駒がいくつもぶつかり合ったままになり大パニックすることもありました。
 最後は6歳の人、三手連続で指して成り込んだ竜でこちらの玉を取りにきて、パニックのまま強制終了したことも。

 さて。

 羽生善治さんの言葉は、最近もいろいろな所で紹介されていて、最近も、

「ミスしない」より「重ねない」ことの大切さ(Mag2News、2018年4月18日)
「不調も3年続けば実力」「プレッシャーを感じているときも悪い状態ではない。最悪なのはやる気のない状態」(産経、2018年5月9日)
経験積むことが挑戦する勇気に朝日新聞、2018年5月15日)

という言葉が紹介されているのを目にしました。目の前の状況に対峙して、次の一手をどう探すかという局面に常に向き合って結果を残している人の言葉からは、たびたび力をもらえます。

 その羽生さんは今年、2018年の名人戦に二年ぶりに挑戦者として出場されていました。残念ながら名人復帰はなりませんでしたが、今回の挑戦が決定した際に、「挑戦者になるだけでも大変なこと。チャンスをいただいたのでしっかり準備したい」という趣旨のことを話されていました。が、羽生さんは1994年に初めて名人戦に登場(奪取)して以来、25回のうち17回でばっちり登場されているんですよね。

 ・・・。さてさて。

 上の本を買ってから数日もすると、夕食も風呂も終えてあとは寝るだけという6歳の人が、寝る前に将棋をしたいと言い出すようになりました。この頃はこちらの飛車角桂香を落とし(6枚落ち)、その6枚を6歳の人の持ち駒にするところからスタート。
 どうやら、駒を協力して効かせることを覚えたらしく、ヒントなしでこちらの玉を一手詰め、しかも受けなしのところまで、ついに自力で追い詰めることもありました。

 しかし、こちらが角取りをかけると、本人はこちらの玉を詰ませられることに気づかず、角取りを受けてしまったり。取られた角で飛車取りをかけられ、飛車を逃げたら角を成り込まれ、次いで玉の両隣の金に桂馬で両取りをかけられたりすると、6歳の人はもうパニック。自身の飛車で攻めを考えるも、桂馬で金をとられた手が玉の即詰みになっていたことに気づかずに号泣することもありました。
 こんなときも、自身の金銀を少し動かすだけで自身に王手がかかりづらくなることを知ると、少し余裕を持って6歳の人自身が、こちらの玉を即詰みにできる手順を見つけられるようになり始めました。おめでたい。



 ここまでは、「こちらが落とした分を下手が持ち駒にしてスタート」というゲーム。しかしこれでは、いつまで経っても下手は盤上の駒を使えるようになりません。そこで、こちらは普通の10枚落ち(こちらは玉と歩9枚のみ)から8枚落ち(玉と歩と金2枚)という条件で3、4週間勝負を続けてみました。



 そうしながら先週の2018年6月24日、6歳の人の希望でもう一冊将棋の練習本を購入。屋敷伸之さん監修の『一冊で差がつく 将棋上達のコツ50 勝ち方がわかる本』(メイツ出版、2017)。まだ6歳の人が読み切るには(本人の希望で買ったものの)早かったようですが、それでも読めるところからゆっくり読んでいるようです。



 将棋で遊び始めて3ヶ月。さすがに10枚落ち(こちらは玉と歩のみ)なら、6歳の人でもこちらの玉を捕まえられることが増えてきました。そこからこちらに金2枚加わるだけで難易度は上がりますが、よほど失敗をしなければ6歳の勝利、となるくらいには駒を使えるようにもなってきました。

 こんなとき、始めたての頃の将棋の失敗というのはだいたい形が決まっているようです。相手の攻めより速く自分が相手の玉を捕まえられるのに、それに気づかず相手の攻めを受けているうちに負けてしまうのです。これを教えるのはなかなか難しそうですが、

 「かけっこでは途中で抜いたり抜かれたりするけど、最後に速くゴールできたら勝ちなんだよね」(≒自分の玉が危なくても、相手の玉を先に捕まえられるなら捕まえちゃえばいい)
 とか、
 「トイレは漏れちゃう前に間に合うのが大事だよね」(≒相手に捕まらないように逃げ込むのも大事)

 などと伝えると、少しずつ感覚が分からないではないようです。・・・たぶん。
 また最近は、こちらの駒をあまりに落としてのゲームをずっと続けていると、6歳の人の方がが持ち駒をいつまで経っても増やせずに手詰まりになっていることに気づきました。それに本人、角が8八の位置から6六→9三にそのまま成り込むという、相手に香車があるだけで不可能になるセンスのない手を覚えてしまいます。
 というわけで、8枚落ちを4週間も続けても6歳の人の練習にならないと思いました。といっても、急にこちらに銀2枚を加えてしまうと、こちらの守りが堅くなりすぎてこれまた練習になりません。

 そこで今週(6月末)から「こちらは玉、金x2、香x2、歩x9」という変則的な6枚落ち、次いで「玉、金x2、桂x2、香x2、歩x9」の変則的4枚落ちで練習を続けることにしました。

 この条件、駒を落としたこちらが勝ち切るのが意外に難しいようです。6歳の方が香車を取ったり、桂馬をおびき出して桂頭に歩を打ち、角を成り込むなどやりたい放題。ここまで、本人に攻め合いを感じてもらいたいということもあり、こちらは駒を落としていてもできる限り攻めていましたが、桂香をこちらの盤上に置くだけで守りも考えなければいけなくなってきました。

 さてさてさて。

 そんなこんなで、6歳の人は毎晩一局は将棋を指したい今日この頃です(しかも、小学校の放課後クラブでもやってもらっているらしい)。この週末は、将棋の町・天童に行ってこようと思います。