一年越しの「いちばん」

 10月初めの日曜日に、4歳児が通う保育所の運動会がありました。この週と翌週の土日は雨が多かったので、運動会を1日延期で無事にできたのは幸運でした。



 この運動会前の9月に、家の壁に貼られていたのは「あさきたら いしひろい」の字。隣には石拾いをした時間だという、8:45を指す時計の絵も。



 運動会の前の1ヶ月間、保育所の子どもたちは登園したら園庭の小石を探し、見つけたら拾ってよけていたそうです。おかげで、運動会当日にかけっこで転んだ子も、すり傷がほとんどできなかったみたい。がんばったな。



 その運動会初めの「かけっこ」。1年前は号砲前に飛び出した子を追い切れず、ゴールが2番になったのを陰で悔しがっていた子がいたのでした。泣きじゃくったりはしなかったけど、じぶんは1着じゃなくちゃ嫌だった。1着になりたいと心に決めて年中児になり、一年ぶりの10月を迎えたその子は今年、一年越しの「いちばん」をとることができました。

 一番前を走ることがすべてではないにしろ、一番前を走り切ることでだけ初めて見えるものがあります。私は鈍くさい幼児だったので、それを多く経験することはできませんでしたが。
 一番になりたいもので一番になること、勝ちたいもので勝ち続けるということ。ある一番の枠は一つしかない以上、それを本気で欲しいと思っても取れない人がいるということ。それを取れなかった人の存在も含めて、すべての挑戦に敬意を払うこと。

 楽しいだけが運動会じゃない。子どもの「いちばん」も勝負事のそんな面を知るきっかけになることがあればと。そして、子どもが当日までの練習を続ける中で新しい表情を見せたり、家でも新しいことに挑戦しようとしたりするのを見て、今年も運動会パワーはやっぱりすごいと感じながら迎えるスポーツの秋です。



 なお、天候不順で運動会が延期になり1日待った前日の土曜日は、子どもにとって長く、ジッと待ってはいられない一日でした。

 その土曜日、我が家の4歳児は縄跳びをしたいと外へ。まだ自分一人では縄を回せず、一人分の短い縄を大人が回して子どもが跳ぶので、大人の肩関節に柔軟さと持久力も求められます。
 「13」で一度つまずいた後、こちらが「1」から数え直すと「14からにして」と言う。連続の回数でなく、合計の回数が良いらしい。結局午前中に「400」、昼を挟んで再開して「1000までとぶ」と言うので止めませんでした。彼らには毎日成長し、結果に喜ぶ権利がある。目の前の毎日の結果が大切で、運動会でのパフォーマンスと自宅前での縄跳びでのそれとに、重いも軽いもありません。

 でもその後に、「あるけない」というほどの筋肉痛に襲われたり運動会の後に風邪を引いたりして、見ていて少しは心配する状況でした。まぁ、やりたいと思うと抑えは効かない。この親あってこの子あり、というところでしょうか。