光とカメラで試行錯誤(最近の研究生活)

 今年の9月の半ばを過ぎました。大学では「手持ちの技術では見えない、見えないから分からない」ことを、「使われていない技術で見せたろ、見えたらもっと色々分かるかも」と走り回っている毎日です。
 見えなかったものをあぶり出すために組んだ光路や電気回路が先月初めまでにほぼ整い、研究用のカメラを使って必要な画像をじゃんじゃん撮っていこうと日々奮闘しています。

 って、いま取り組んでいるのは元々、奮闘する予定ではなかったポイントなんですけどね。カメラで「ちゃんとモノの明るさが分かる」ように撮影するのって、意外と難しいもんだなと。

 カメラでデータを取っていく過程はこんな感じで、町の撮影スタジオとそんなに大きく変わるわけでもないのですが、
 ①カメラのスイッチを入れる(ウォームアップ)
 ②カメラからの画像を受け取るソフトを立ち上げる
 ③被写体を照らす光源を温めておく(ウォームアップ)
 ④被写体をしっかりとセットする
 ⑤被写体に光を当てる
 ⑥撮影する

 いま私が取り組んでいることには、大きく次の2つの特徴と要件があるのです。
・撮影に長時間かかる(被写体がんばれ)
・被写体が「どれだけ明るいか」を厳密に知りたい

 これ、意外と難しいんです。まず、長い時間の撮影中に被写体(モノ)が乾燥したり、変形してしまったりしては目的を果たせないので、そうならないように気をつけて被写体を準備しなくてはいけないわけで。被写体や土台はある程度アレンジできるようにしたかったけど、しっかり固めてもおかないといけない。被写体を温めてしっかり乾燥させたり固めておいたりも(もちろん、温めすぎて融けないように注意)して。
 それから、当然ながらカメラや光源のウォームアップ(上の①や③)が足りないと、被写体からの光や、そもそも被写体に当たる光の強さが安定せずに、被写体が持つ「本当の明るさ(光の返し方←これが知りたいわけ)」が分からなくなってしまう。だから、そこはしっかりと頑張ったわけ。

 でも、ここまで注意しても落とし穴があった。被写体に光を当て始めて(上の⑤)からも時間を待たないと、どうしても写り方が変わってしまう。初めは、被写体を固め切れてなかったかもしれないと思い、被写体作り直しかーと思ったのだけど、どうも違う。
 どうも、光源をウォームアップする(③)だけでなく、光のスイッチ自体を入れておかないといけないらしい。たしかに光を当て始めてから光の出口の温度が変わるから、それが重要なのだろうか。これは当初の計画ではマークしてなかった。誰もこの光を、被写体に1時間も2時間も当てようとか普通は考えないからね。そんな風に、光をちょっと変わった感じで使っているのです。

 ってわけで、今日も光を被写体に当て続けること7時間(うち初めの30分間はウォームアップ)。見えない現象を見えるようにすることを目指して、光とカメラを使った試行錯誤をしていました。直前にうまくいかなかったことやできなかったことを、一つ一つ解決していく日がもう少しは続きます。

 え、どんなモノの写真撮ってるのかって? 全然大したものではありません。ただ普通の写真を撮って見ても楽しいものではないです。本当に。



 ほらね。