御礼-日本毒性学会の田邊賞を頂きました

 本当は来れないはずだった出張でしたが、名古屋で開催中の日本毒性学会年会(2016)に2日間だけ参加してきました。米国FDAの先生の教育講演「Translational imaging of toxicity」では、毒性試験に使えるイメージング解析について包括的な講演があり、イメージング研究を進めている私に多くの「次の手」の気付きを与えてくれました。(聴講中からそれをメモするのが大変でした!) シンポジウム「ナノマテリアルの実用化に呼応した有害性評価の進捗」では、カーボンナノチューブ(CNT)の毒性評価の最新情報が紹介されました。非侵襲イメージングに使える単層CNTの安全性をどう評価していこうかということについても、いろいろと思い付くことがありました。

 ナノカーボンは本当に面白いです。今日もこんなニュースがありましたし。
 ⇒NEC、導電性と吸着性をもつ新規ナノ炭素材料「カーボンナノブラシ」を発見NECが新材料「カーボンナノブラシ」を発表、充電高速化に期待(2016年6月30日)

 今日昼すぎの授賞式では、私たちの論文が田邊賞(年間優秀論文賞)を頂くことができました。
 受賞した論文の内容は、先日も別の論文で報告したレベルの低濃度ディーゼル排ガス曝露が、新生児脳におけるDNAメチル化レベルに及ぼす影響を分析したものです。プロモーター領域メチル化レベルの網羅的データを分析し、変動のあった領域の標的mRNAをGene Ontologyで分類したのですが、その結果を見たときは「おっ」と思ったものです。ただし、追加で別のデータを取っていこうと思ったら試料の保存が良くなく、途中で打ち止めの形になってしまった研究だったのですが。
 学会表彰で改めて取り上げられてみると、一緒に試行錯誤した仲間の顔が思い出され、嬉しくありがたく思うばかりです。



 受賞論文: Tachibana K, Takayanagi K, Akimoto A, Ueda K, Shinkai Y, Umezawa M, Takeda K. Prenatal diesel exhaust exposure disrupts the DNA methylation profile in the brain of mouse offspring. J Toxicol Sci 40: 1-11 (2015) [PMID: 25560391]

 ありがとうございました。



 ここ10日間ほどはかーなーりー疲れもあったのですが、名古屋の櫃まぶしで元気をもらいました。