Nanosafe2014@グルノーブル

 この2日半、国際会議はグルノーブルでのNanosafe2014で、Minatecに来ていました。Minatecは、"MIcro and NAnoTEChnology" の研究のために2006年に作られた公的研究機関。テクノロジーの研究拠点が安全性のための議論の場を積極的に開いている例は、他に医療・食品以外の分野では多くなく、意義の高いものなのではないかと思います。
 隔年で開催されるこの会議、2008年に始まり今回が4回目とのこと。



 冒頭に、なぜ "Nanosafe" を取り上げるのかについての確認。それは、“ナノ” が古くから存在したものではあるけれど、"access to sophisticated nanostructured materials available at industrial scale"、つまり工業材料として大規模なスケールで扱われるようになったのは最近であるから、ということ。(F. Tardif氏)

 欧州は、ナノマテリアル・ナノテクの安全性の議論が、間違いなく最も進んでいる地域です。一般大気・水・土壌などの環境と健康に関する研究は、米国が最も盛んなのですが、労働環境・労働者保護や規制の観点が入ると、途端に欧州のプレゼンツが増す好例であると私は感じます。

 例えば、European Communityは“ナノ”の安全かつ持続可能なイノベーション実現に向け、安全性管理のロードマップを整理して公開しています。

Nanosafety in Europe 2015-2025: Towards Safe and Sustainable Nanomaterials and Nanotechnology Innovations by European Committee & European NanoSafety Cluster
 pp.192-207に、Nanosafety(ナノ材料ナノテクノロジーの安全性)を担保するための研究・規制のロードマップが示されています。初めの約30ページに要約もあります。膨大な資料ですが、分かりやすくまとめられていると思います。

 こちらでも、分かりやすく解説されています。
 ⇒Safety Issues in Nanoscience and Nanotechnology in NMP-DeLA Summer School

+++

 ただ、学会に関して欲を言えば、テクノロジー発展につなげるための最新の動向や、regulationに近い部分での具体的な動き・実践・変化があることをもっと見たかったです。それほどでもない様子を、私の教授に少し愚痴をこぼしたところ、「基本的にはヨーロッパの研究者の会合なのでヨーロッパの動静や雰囲気がわかれば」 と仰ってくださいましたが。
 後追いで実施した試験(?)のような結果報告もあり、最新の知見を得て洞察するには、生産性が良いとは言えない2日半でした。

 いつも国際会議でお世話になる高名な先生に、2年でいったいどれだけ進んだの? と訊いたところ、「a little bit(ちょっとだよね)」と苦笑されていましたが。

 これからの2年で、果たして自分たちがどこまでできるだろうかと。それを、fairに評価できるか?

 この辺りの現状と考えは、今月末の日本リスク研究学会の大会(2014年11月29日午前@京都)での企画セッションで、お話しできればと思います。

+++

 今はリヨンの空港で、これから帰路につきます。例に漏れず時差ボケで疲れが溜まるのが困りものですが、フランスではご飯が美味しいので心身とも元気です。


 ホテルのレストランで頂いたFish soup。


 学会会場で出された菓子パン。母国を離れても、普通のものが普通に美味しいというのはありがたいことです。


 学会会場ではお寿司も。フランスに来てまでお寿司…とは思いましたが、体調管理を優先して頂きました。こちらも、フランスの街のお店と違って美味しかったです。

 帰国したら3ヶ月半ほど、国内での仕事を集中的に片付ける予定です。首都圏は冷え込んでいるようで、気をつけないと。

<2014年11月@グルノーブル
グルノーブル渡航準備
ハブ空港を目指すってのはこういうことイスタンブール
まるで絵を見ているかのような…グルノーブル
11月のグルノーブルからアルプス、モンブランも
Nanosafe2014@グルノーブル