保育園、選べていればいいけれど

 なんだこりゃ、と。そんな保育の現場も存在するということに、怒りと恐怖すら込み上げます。

やっと入れた保育園… でもそこは地獄だった ―これが「待機児童」の実態だ(中)―(日経DUAL、2013年12月5日)

 決して、そんな保育園があると告発するための記事ではないのでしょう。編集者側からも、こんなコメントがあります。


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「保育園そのものの運営のひどさというよりも、このような体験をせざるを得ない待機児童を抱えるご両親がたくさんいること。そして子育てインフラ不足の現状をお伝えしたく、一石を投じる気持ちで発信しました。」
「保育園の温かみ、先生方の優しさに日々救われて6年間を過ごした者は数え切れないほどいると思います。」
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 そして、読み間違えてはいけないのは、運営や日常生活の実態の良し悪しは、「公立か私立か」「認可か認可外か」で決まっているのでは決してないということ。

 このような記事を読んで、「保育園って怖い」と思ってしまう人も多いかもしれません。(私自身、それなりに不安を感じていました。) でも決してそうではなく、保育園をすごく楽しく過ごしている子どもや、安心してそこに昼間の生活を任せられる親の方が、数としてはずっと多いはずではあります。
 ただし一方で、このような保育園も(少なからず)存在してしまう実態。それが淘汰され得ない社会のシステム。誰しもが、それに遭遇するかもしれない。子どもの安全や楽しい日常生活を、どう守れるか。
 こういった記事を多くの人が読めるようになることで、社会の仕組みが良い方向に変わってほしいと願ってやみません。

 当事者でなければ、分からないことがたくさんあります。必要なことは、まずは当事者が(ツラいお気持ちは察して余りありますが)しっかりと声を上げること。改善されるべき(してほしい)問題を共有できること。
 それこそが、問題の根本解決のきっかけになるのだろうと思うです。

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 逆に私自身は、いま安心して保育園を利用できている現状に、改めて感謝もしながら記事を読みました。
 実際に、うちの1歳児が通っている保育園は、多くの保護者に支持されているところ(※新聞の参考記事、2013年12月24日)。連絡帳に返ってくるコメントも楽しいですし。感謝してますよん。こっちも、保育士さんを笑わせようと思って連絡帳を書いていますよん。


 「12月10日(火)、10時のおやつのりんごは、おっことしてしまったのかと思うほど、あっという間に食べてしまいました」との報。笑ってしまいました。はい、家でもそんな感じです(笑)

 私が目にしている保育園と言えば・・・

 登園するやいなや、1歳児が絵本を読んでと保育士にせがむ。園児と絵本に囲まれて座る保育士が、笑顔でそれに応える。多くの園児が、笑顔で代わる代わる保育士の胸に飛び込んでいく。
 園児どうしがときに喧嘩を始めちゃう場面も、ポカっと顔を叩いて友達を泣かせちゃう場面もある。1~2歳児のそんなの、保育士が見逃してくれるわけがない。誰かが度の過ぎた“押しくらまんじゅう”をしていると、「それじゃ○○ちゃんが窮屈だよ~」となだめる。
 叩いた園児には、謝りなさいと諭す。叱られた園児は、おそらく叱られた込み上げる悔しさに泣きながら、ごめんなさい(←言葉にならない)と言いながら泣き始める。そんな友達どうしを、保育士が温かく抱きしめる。

 私(と子ども)が8ヶ月間お世話になってきた保育園。自分の目で見ることのできた場面は限られていますが、そんな所でしたよん。

 予防接種があって昼寝の時間に迎えに行ったときは、複数の保育士さんがチラチラと子どもたちの方を見ながら、連絡帳を書いてくれてましたっけ。(あ、今週は久しぶりの予防接種だ。)

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 入園式の日に、その日初めてお会いした担任の先生が、こうおっしゃったのを今もはっきりと覚えています。


 いつも、朝お預かりしたときと同じ顔で、夕方お返しできるように努力します。でも、ときには怪我をしてしまったり、顔に小さな傷ができてしまうこともあるかもしれません。もちろん安全が第一ですが、子どもたちの「やりたいっ」と思う気持ちも大切にして保育をしていきたいと思っています。なので、ときには小さな怪我をしてしまうかもしれませんが、どうかご理解いただければありがたいです。

 そして1歳児はその不安とは逆に、朝と変わらず帰ってくることはなく、毎晩、朝よりも成長した姿を見せてくれています。

 まず自分は、イベントや保育参観のとき、毎朝毎夕にできる園の職員さんとのお話を大切にしよう。と、改めて。

保育園の安全、問題解決と伝え方、プール開き(2013年7月23日)
安心して保育園に通うためにできること・必要なこと(2013年9月19日)

 2014年2月1日追記
 私にとって不可欠で、子どもが成長する素晴らしい場所でもある保育園。でも、その背景にも未解決の問題があります。改善されてほしい。こちらも是非。
●読売新聞の保育事故に関する連載-「死因究明を 遺族の願い(上)」(2014年1月30日~)
朝日新聞・生活面記事-「ケア労働で生きる:2 保育 好きだけど、もう限界」(2014年1月31日)