安心して保育園に通うためにできること・必要なこと

 当然ながら、保育側も保護者の側も、保育事故を望んでいません。しかし、それを防ぐために必要な情報が十分に共有されておらず、事故が発生していることも現実です。

 2013年9月15日、都心で「保育事故を繰り返さないために」と題したシンポジウムが開催され、私もTwitterで関心を持って見ていました。

 私が最も強く持った感想は、とにかく「問題とあわせて解決策を共有できるような機会を!!」ということです。

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 保護者にとって、保育園・保育士たちがどのような知識を持ち、どのような点に注意をして保育をしているのかを知りたいと思うことは、少なくありません。
 保育園の見学のときに、それを引き出せるような問いができるだろうか? 安全な保育園生活のために、保育が始まってから、保育士と不安を伝え合ったり共有したりすることはできるだろうか? そんなことに思いを巡らす保護者も少なくないと思います。(私もその一人です。)

 一方の保育園側も、専門知識があるとはいえ、安心して保育に臨みたいのが現実でしょう。保育園(保育士)が、保護者に過剰な不安を与えずに、かつ保育園・保育士-保護者間で不安な部分を共有できたら、保育事故を未然に防ぐことにつながるのではないでしょうか。
 例えば、日々変わっていく子どもの癖について、保育士と保護者との間で情報交換し合うとか。

 というわけで、週明けの連絡帳にこう書いてみよう、と思います。「最近、○○も1歳7ヶ月を過ぎて色々な遊びやいたずらを覚えてきました。保育園で、これは危ないかもと思ったことがありましたら、ご遠慮なく連絡帳に書いてください。家でも注意したいと思います」と。

 しかし、それで問題がすべて解決するわけではありません。事故は、分別のある大人でも経験するもの。まして、子どもの生活がいかに事故と隣り合わせかということは、言うまでもありません。
 昼寝時、おやつや食事のとき、水遊びのとき、外遊びのとき、ワケが分からなくなって泣き続けてしまうとき。至る所にある扉に、小さなおもちゃや筆記用具。日常の中に危険はあります初めは慣れない保育園で、しっかりご飯を食べているかも気になります。

 それ(不安・問題)は分かるけれど、じゃぁどうすればいいの?(解決策は?) それについて、父子手帳は「自分で(個々の家の状況も踏まえて)考えて」と言っているように見えました。まぁ、家ならそれでもいいかもしれませんが。

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 保育園では、そうもいかないことがあるでしょう。責任問題が発生することもあるからです。
 一方、そもそもどんなことに注意したら効果的なのか、それが分かりにくい場面も多いのだと思います。そのためにこそ必要なのが、保育事故など何かがあったときの検証(事故調査)と、その記録です。
 冒頭に紹介したシンポジウムによると、事故検証は “①被害者家族の救済のため、②預かる人(保育園に限らず)のため、③再発防止のため、④保育や制度の改善のため” になるとのこと。その徹底を、そして、必要な範囲で(←とあえて書かせていただきますが)制度化を、ということ。その通りだな、と思います。

 事故を防ぐための想像力を補える仕組みができて、効果的に働いてくれることを願うところです。

保育施設における事故報告集計厚生労働省まとめ)
 死亡例の過半数が「原因不明」扱いって…。
シンポジウム「保育事故を繰り返さないために」を聴講してきました保育所つくってネットワークさん、2013年9月21日)
保育士は知っておきたい保育に役立つ救急救命法(PDF、@2013/保育園児のための保育安全のかたち)
(朝日新聞社説)保育での急死 防げるのに防げてない(2013年10月31日)
  ※一点、愛知県が面積基準を国基準より広げたというのは誤りで、国基準の半分で詰め込んでいたのを国基準に戻しただけ、とのこと。しかし、保護者側の声を大切にされている社説です。

 2014年2月1日追記
 私にとって不可欠で、子どもが成長する素晴らしい場所でもある保育園。でも、その背景にも未解決の問題があります。改善されてほしい。こちらも是非。
●読売新聞の保育事故に関する連載-「死因究明を 遺族の願い(上)」(2014年1月30日~)
朝日新聞・生活面記事-「ケア労働で生きる:2 保育 好きだけど、もう限界」(2014年1月31日)