企業や大学の将来を予見するには

 Newsweek 2011年12月7日号(pp.40-75)に掲載されている特集「日本を救う中小企業100」を読みました。のんびり読んでいたので、手にしてから読み終えるまでに1ヶ月半近くが経ってしまいました。しかし、逆説的な意味も含めて面白いものがいくつかあり、勉強になる特集でした。
 ここでは、その逆説的な意味で面白いと思った言葉から2つを紹介します。

 「中小企業は自らの存在意義を社会に証明し続けなければ生き残れない。」
 ・・・“中小”でなければ、「証明し続け」る必要はないのでしょうか。そうなのかもしれませんね。そして、それを忘れた企業が最近もいくつか危機に瀕している(もしくは瀕しつつある)のでしょう。

 「近年は世界展開にも力を入れる。」
 「(最近は)海外からの受注も視野に入れ始めた。」

 ・・・このような言葉が、特集記事に掲載されるような企業を高く評価するのに今も使われるのですね。今は多くの企業が「事業のグローバル化」「グローバルな市場へ」などと言葉を並べています。しかし、その方針で実際的に大きな成果を上げている日本企業は、まだ決して多くないと(少なくとも本誌編集社は)考えているのだということを、強く感じました。

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 私はこの記事を読みながら、企業の将来はどのようにすれば予見することができるのだろうかと考えていました。その予見は少なくとも、その企業の「今(最近)の利益」を見るだけではできません。今の利益は将来の利益を約束するものではないからです。今の利益は将来の経営のために必要ですが、さらにその将来の経営に必要な将来の利益まで、今の利益は保証してはいないでしょう。
 いま利益を出している「モノ」が、この先何十年も利益を出すことはほとんどないのです。

 企業の将来を占える問いがあるとしたら、その一つは「そこにアイディアがあるか」ということではないかと思います。もちろん、アイディアのない企業などはないとは思いますが。
 しかし、将来にまで通用するアイディアがそこにあるかどうか。将来の利益を生み出すアイディアを出し続け、活かし続けることができるかどうか。それが、その企業の将来を左右する一つの要因であるのだろうと私は思います。

 応用の可能性を秘めた新しいアイディアというのは、どういう場で生み出され続けるのでしょうか。新しいアイディアが次々と出る場はどのようなものなのか、そしてそのような場はどのようにして作り出されるものなのかということに、私はとても関心があります。それは私が、自身のいる大学の職場を、そういう場所に今以上にしていきたいと思うからです。私がイメージするその「場」は、頻繁に斬新なアイディアが出され、次々に出てくるそれを皆で活用しようとする雰囲気に満ちた空間です。

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 さて、先に私は「企業の将来はどうすれば予見できるか」と書きましたが、大学についてもそれは同じです。今、そしてこれからは二十歳人口が減り、大学の学生の総数が(国外からの留学生を入れない限り)減り、大学の教員の数も減っていく時代です。そのような中で、アカデミアの者がどのような場でどのような仕事をしていくのかということは、よく考えながら仕事をしたいと思っています。
 大学でなくても、同じようなことは言えると思います。市場を構成する人の比率は、今後も変わっていくのです。

 そのような話を、大学内外でできる仲間が欲しいと思う最近のU-runnerです。