考えの話し方と表し方にこだわる

I am suggesting you should be aware of how you are speaking and how you are expressing your idea IF you want to grow.

 成長する意欲が湧かない、どうすれば湧くのか、という学生の問いに対して。私の答え。

 無理に成長したいと思う必要なんてありません。

 個人として成長を目指すのは、生き方の一つに過ぎません。成長したくもないのに無理にしようとする(そこで勝負しようとする)のは時間の無駄です。

 成長しないと、将来仕事に就けないんじゃないかって?

 それは幻想です。ただ、就ける仕事のタイプが違うだけのことです。(ただしそれは、少なくとも今言われる“グローバル社会”の中では、仕事に応じて給与も違うことを意味します。)
 成長も、取捨選択の連続です。一度にすべてを手に入れようとするのはやめましょう。

 自分が将来何をできるのか。どのような価値を生み、提供できるか、自分が何の発展に寄与できるかが分からない。その具体例を示してほしい、という問いに対して。私の答え。

 その具体例は、街じゅうに転がっています。人がどのような価値を生み、提供できるかは極めて多様であり(だからこそ、様々な仕事、会社、業態・職種があるのです)、私の示す例をあなたが受け取ることを私は望みません。その例では、私が示したいものよりもはるかに狭いものしか伝わらないでしょうから。

 何らかの価値を生み、それを提供することは、給与を受けることの必要条件です。どのようにしてお金が回っているかを考えれば、それは分かることと思います。
 自分がどのように価値を生み、それを提供できる(したい)のか。その考えを持てずに社会に出たら、自身が楽しいと思える仕事に就けることはないでしょう。

 家庭や高校、受験、大学在学などは狭い世界です。広い社会にアンテナを伸ばし、価値の生み方や提供の仕方の多様さを、自身で感じてほしいと思います。

 では、それを感じるにはどうすればいいのか。

 そこだけ答えの一例を示すと、自分の「話し方」や「自分の考えの表し方」に意識を置くことが有効なのではないかと、私は常日頃から感じています。

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 私は価値についての多様さを感じるために、「普段は会えない人の声」を聞く機会を重要視しています。もっと言えば「聞く」だけでなく、そこで自分の考えや意見を試すことを大切にしています。
 「いろいろな人と話をし、いろいろな人の事情や論理を知ること。」 それが大学4年のときの私の、大学院進学の唯一の動機でもありました。それは、私の今の仕事にもつながっています

 只々それを実現するために、私は自分の話し方や自分の考えの表し方に(失敗も多々しながら)こだわってきました。

 「話し方」や「自分の考えの表し方」を意識すること。一つだけ答えを示すとしたら、それが「自分がどのような価値を生み、提供できるか」を知る一つの方法であろうと思います。これを意識すると、人の言葉の意図を汲みやすくなるためです。
 様々な人の言葉の意図を汲めれば、世界がどう動いているかについて見える範囲が変わります。見える範囲が変わると、不意に自分が目指す成長の方向性を知ったり、動機も得たりすることもあるものです。

 とにかく生き方や理想は多様であり、自ら欲しない形をあなたが目指す必要はありません。

 人の言葉に耳を傾けながらも、それに惑わされないこと。人の語る見せかけの“理想”に憧れないこと。

 自分が楽しいと思えるもの・生き方をとことん楽しんで、自分なりのラインで生きていってほしい、いきたいものだと思います。