Nanotoxicology2010-1日目参加報告

2010年6月2日、
Nanotoxicology 2010 Edinburgh
1日目の参加報告です。

学会は、Edinburgh Napier Universityの
Craiglockhartキャンパスで行われています。



以下、一部の講演のタイトルに合わせて
その内容を簡単に紹介し、1日目の参加記録にします。


Session 1: Setting the Scene

Keynote
Nano-particles and mega-doses: relevant for identifying adverse effects
by Gunter Oberdorster (University of Rochester, USA)

 今までに蓄積されてきたナノ粒子の毒性に関するデータは、高用量のナノ粒子を投与させて行った実験によるものが多い。すでにあるデータの解釈には、注意を払う必要がある。
 また、ナノ粒子の投与後、短い時間で起こる変化はよく報告されているが、慢性的に曝露させたときの影響についての報告は少ない。低用量のナノ粒子の投与による慢性的な変化(影響)を明らかにするための研究が、今後必要である。

Keynote
30 years of particle-lung interaction
by Peter Gehr (University of Bern, Switzerland)

 演者は以前から、空気がどのように肺から吸収されるかについての研究をしており、転じて大気中のナノ粒子がどのように気道と相互作用するかも研究し、考察してきた。
 気道中に侵入したナノ粒子と相互作用する細胞として、樹状細胞(免疫反応に関与し、T細胞とも相互作用する。)に注目する必要がある。


Session 2: Metals

Keynote
Characterization of inorganic nanoparticles for environmental fate and effects studies
by James F Ranville (Colorado School of Mines, USA)

 大気中のナノ粒子を感度良く検出するために、ICP(inductively coupled plasma)技術を他の装置と組み合わせた複数の方法を検討している。
 しかし、発表ではナノ粒子の検出感度について質量濃度でしか言及がなかった。ナノ粒子は、質量濃度が小さくても個数濃度が大きい場合が想定される。そこを考慮した上で、現状はpptレベルであるというICPのナノ粒子検出感度を向上させる工夫が、今後求められるべきである。

Quantum dots modulate steps of leukocyte recruitment depending on their surface modification
by M Rehberg et al. (Ludwig-Maximilians-Universitat, Germany)

 カルボキシル化されたナノ粒子(量子ドット)は、白血球と血管内皮細胞との接着を促進させ、白血球の血管外浸潤を促進させるという。また、マクロファージなどの他の細胞とも相互作用をしやすいという。

Defenition, identification and biophysical interactions of nanoparticles
by W Wohlleben (BASF, Germany)

 ナノ粒子は一般的に凝集を起こしやすいことが知られている。アルブミンで表面を覆われたナノ粒子は分散性が良く保たれる一方で、肺サーファクタント(界面活性)物質で覆われたナノ粒子は分散性が一般的に良くないという。このことが、吸入されたナノ粒子が気道中で凝集を起こしやすいことを説明できるであろうとしている。


さて、この学会会場になっている
大学のキャンパスは郊外にあります。
市街からバスで20~30分ほどのところです。
もちろん、2階建てバスの2階に乗って行きました!
会場に向かうバス通り沿いも、
きれいな街並みが続きます。



このバスはとても高い(車高が)ため、
街路樹のある道を走るときには、
屋根に木の枝がバチバチと当たります。
そのとき、2階に座っていると大きな音が聞こえます。

空港から市内に乗るAirlinkで、初めてこの音を
聞いたときはとても驚いたのですが、
周りの人は平然としていました。
当然ながら、地元の人たちは慣れているようです。

この2階建てバスは、この街の名物だと思います。
でも、他のヨーロッパの街でもあったりするのかな。


学会1日目の夜は、レセプション "Civic Reception" が
市内の歴史ある建物 "City Chamber" で行われました。
王室の方もいらした上に、参加者の皆と言葉を交わしながら
挨拶をしていってくださいました。

“詩人”の方も来ていて、
スコットランドゆかりの詩(poem)を紹介してくれました。


(※ 撮影はうちの教授。ありがとうございます。)

Receptionでは、スコッチウイスキーも振る舞われました。
・・・強かったですー。
そして、ひと言でスコッチと言っても
いろいろあって、面白かったです。

私の発表まで、あと2時間を切りました。
学会2日目(6月3日)の午後に予定されています。
今は講演会場を抜け出して、
最後の準備を進めているところです。

あまり苦なく英語で発表できる人が、羨ましいです。


学会2日目(6月3日)参加・発表報告