水族館・博物館@茨城で、水の「危険生物」を見る

 先月のことですが、大洗アクアワールドで行われている企画展「毒ラボ」に行ってきました。この企画展は2018年5月6日まで。年始にお年玉で『危険生物』の図鑑を買うほど、生き物の危険性に興味津々の6歳の人が、喜んで展示を回っていました。



 何で生物には毒を持つものがいるのか。それは、獲物を捕らえて食べるためだったり(攻撃型)、自らが捕食されるのを防ぐためだったり(防御型)。それぞれの動物は、進化の中でこれらを作り出す機能を獲得し、もしくはこれらを持った種が進化の過程で生き残って今を生きているのだと分かります。

 しかし、生き物の危険性にもいろいろあるんですね。例えば、サメはサメでも咬まれて危険「ではない」のがいるとか。
 サメの危険性は咬みつかれるために危ないものだけかと思いきや、ギンザメはそうでなく「ヒレの棘(トゲ)に毒を持つ」のだそうです。ただしこの毒、刺されると痛むものの人への害はほとんどないそうで、『危険生物』の図鑑には載っていませんでしたが。


 (ギンザメ。写真は茨城県自然博物館にある標本。)

 そういえばサメの中には、プランクトンを食べていて大きな歯を持たないものもあるので、サメといえば咬みつくもの、というわけではないんですよね。

 それから意外だったのは、タコは実は「咬まれて危険」なんだということ。しかも唾液に毒があること。


 大洗アクアワールドの「毒・ラボ」の横断幕(上)には、ハナミノカサゴとオオマルモンダコの絵が描かれています。うちの6歳の人はこのタコの模様を見て、はじめ「ヒョウモンダコだ」と言っていましたが、たしかにオオマルモンダコはヒョウモンダコの仲間(近縁種)のようです。それでは見分けは難しいですね。

 で、このハナミノカサゴとオオマルモンダコは、前者が「防御型」で後者が「攻撃型」とのこと。そう、タコは「攻撃型」。タコは口に、カラストンビと呼ばれるクチバシを持っていて、咬まれれば傷を負うことになってしまうのだそうです。そーだったのか。


 マダコ@大洗アクアワールド

 さらにタコはほとんどが、捕食する獲物を麻痺させるための毒を唾液中、つまり口に持っているんだそうです。
 この毒、タコ本来のものは人に無害です。しかし、ヒョウモンダコとオオマルモンダコは分泌腺にフグと同様の寄生虫がいるために、いわゆるフグ毒(テトロドトキシン)が唾液にあるとのことです。驚き。

知ってる?マダコの毒(Travallies Ocean、2017年6月9日)

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 さてさて、毒の有無に関わらず生物の「危険」のタイプは、冒頭の図鑑によると次の6つに分けられるそうです。

・刺毒
・咬毒
・食中毒
・防御毒
・吸血、病気媒介
・刺咬傷


 小学館NEO『危険生物』pp.8-9。小さい人はおやつを食べながらでもこの本を見ているのですが、よくまぁこんな絵を見ながらモノを食べられるものだと思いますが、

 しかしまぁ、「刺咬傷」を負わせる器官をタコは、あの軟らかい体に持っていたなんて。


 こちらは有名(?)、刺されると激しい痛みの出る「刺毒」を持つアカクラゲ。@大洗アクアワールド


 トゲに毒のある、ハナミノカサゴの標本。@茨城県自然博物館


 クサフグはね、やっぱり内臓に毒があるよね。@茨城県自然博物館

 6歳の人は、それぞれの生物が「危険か危険じゃないか」「どう危険なのか」ということにすっかりハマりました。が、先日の朝、家の玄関先にアシナガバチが現れたときは、怖くて2、3分外に出られませんでした。それは、防御の方法として正しいんだろうと思います。

 さて、次は何を見に行くかな。

茨城での「サメ展」@大洗水族館、茨城県自然博物館(2017年12月)
新旧の「動く恐竜」を見てきた@茨城県自然博物館(2017年4月)



 PS. ニホンウナギって体に毒を持っていたんですね。血清や体表粘液に毒。企画展「毒ラボ」の中ではなかったのですが、初めて知りました。血清毒の名前は「イクシオトキシン(ichthyotoxin)」。60.5℃以上の加熱で変性し、毒性も失活するタンパク質であるために、加熱して食べるぶんにはまったく問題がないのですが。図鑑NEO『危険生物』にも記載あり。


 (参考)厚生労働省自然毒のリスクプロファイル:魚類:血清毒

 PS2. 上から3つ目の写真の場所、水族館の入り口階段下の撮影スポットは、4月後半はネモフィラの花壇になっていました。

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アクアワールド茨城県大洗水族館・企画展「毒・ラボ」(2018年5月6日まで!)
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