段差で転倒、湿潤療法にチャレンジ

 転んでできてしまうヒザのすり傷、私が子どもだった頃(1980~90年台)は患部を乾燥させて、かさぶたができるのを待つことがほとんどでした。が、最近は乾燥させて治すわけではないのですね。

 「湿潤療法」です。

 私はコレ、3歳児の通う保育園から来た傷の応急処置についてのお便りで初めて知りました。乾燥させないとジグジグしてしまって良くない印象を持ってしまっていたので、「乾燥させないのが良い場合もあるんだ!」と驚いたのを覚えています。

 そして今月、私が1月13日に未明のエジプトでランニング中に転倒し、派手にヒザを負傷してしまってしまった後のこと。出血だけでなく汁も出続けてしまう状況で、初めて湿潤療法を試すことになったので(えぇ、子どもでなく私自身がです…)、その感想を書いておこうと思います。

<状況と経過の一例>

●1月13日未明 転倒
 ホテルに戻った後、出張時にもいつも持ち歩いていた綿入りのガーゼ(表面は繊維が飛ばないようになっているもので良かった)で傷口を保護。テープまではもっていなかったので、絆創膏を代用してガーゼを固定。

●1月13日は一日、ガーゼを当てた応急処置
 この日がメインの仕事だったので、スーツをはかないわけにはいかず。もしガーゼが無かったら、どうなってしまっていたことか。しかし、綿入りの厚めのガーゼでもあっという間に汁(?)を含んでしまい、新しいガーゼを貼って1時間もするとスーツにそれが染みてしまう状況でした。

●1月13日夜、予想通りのデメリットに遭遇
 一日仕事をして夜ホテルに帰り、ガーゼをはがすと、未完成のかさぶたがガーゼに引っ付いてはがれてしまいました。あーぁ、かさぶた作り直し…。そう、これが絆創膏やガーゼを貼って処置することの、最大の懸念事項なのですよね。
 これを解決するのが湿潤療法と理解しています。私自身がこれを試すのは、この3日後からになりましたが。

●1月13日夜~16日帰国時
 ガーゼや絆創膏を貼ってしまうと、傷口が「固まりかけては剥がれ」を繰り返してしまうことになるので、水で洗うだけで(本当は消毒すべきと思いますが。しみない等張液で…)何も貼らずに乾燥させる作戦に変更。ズボンは常に、ヒザに密着することのないジャージで(残りの仕事が実験だったので許されたかな)。
 何も貼らずに乾燥させるのは最善ではなかったかもしれませんが、道具の限られた状況で服も傷口も汚さなずに、とれる最善の選択肢であったとは思っています。
 なお、ヒザを曲げると傷口が引っ張られて痛むので歩くのにも支障が出てしまっていましたが、悔しいので朝は毎日同じ道を走ってきました。もちろん転ばずに…。

●1月16日夜~
 3日経った傷口は乾燥しているように見えるものの、まだ汁が少しずつ出続けているようだったので、妻の勧めもあり湿潤療法を試すことにしました。患部を洗った後に、折り畳んで作ったやや広めのラップを傷口に乗せ、その上にガーゼを乗せたガーゼをホワイトテープで固定(軽く、ただしもちろんズレないように)します。
 傷口はまったく乾かないので、時間が経つと汁が周りに漏れてしまいます。ガーゼがそれを吸ってくれますが、心配な場合には上から軽く包帯もまくといいようです。

 新たにできるかさぶたは溶けてジグジグになりますが、それが傷口を守ってくれることには変わりないようです。また、乾燥させない形をとってから傷が思ったより深く、すり傷面の中に浅く切れたようなこともあることが判りました。段差を見逃し減速せずに転んだことに加え、何より体重10~20kg前後の子どもと大人とでは転倒したときの衝撃が違うことを思い知らされました。

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 ※なお、湿潤療法を始めてみて痛みが増してきたような場合には、速やかに病院にかかるのが良いようです。

●1月18日
 帰国後の週明け、平日の出勤。ラップで傷口を覆ったまま動くのはつらかったです。昼間中ずっと、ラップによる湿潤療法を続けることができず、午後にはラップをとって傷口を再度乾燥させて過ごしました。

●1月19日
 職場の同僚が「乾燥させずジグジグさせ過ぎもせず、傷口に貼り付くこともない(かさぶたを剥がすこともない)シート」(下の写真・左)を紹介してくれました。





 この夜から試したこれが、とても快適でした。ラップと違い、傷口から少しずつ出続けてしまう汁をシート全体に延ばすことなく、傷口を守ってくれるのです。ヒザてっぺんの傷は、多少でも移動すると動いて(伸び縮みして)しまうので治りにくいのですが、これを使ってようやく傷が治る気がしてきました。もちろん、負傷から6日も経って治る気配もなかったら困るのですが。

●普通の絆創膏へ
 上のシートを使い始めてから2、3日ほど経つと、傷口から出る汁がほんの少量になってきたので、プラスモイストP終えて通常の絆創膏に替えました。使ったのは、ヒザのてっぺんの大き目の傷口に対応してくれた、上の写真右のもの。(関節部用・ジャンボ:45mm×60mm)



 これ、使い続けても貼り付け部位がかゆくなることもなく、変に蒸れることもなくよかったです。絆創膏も、私が子どもだった頃からは進化しているのだろうと思います。それでも、22・25日のスーツ仕事が正直つらかったのですが…。

●1月29日夜
 負傷から16日、ようやく傷口から出る汁が完全に収まっていました。まだ傷口を守るために、念のために絆創膏を貼っていますが、ようやく安心できました。
 まだすり傷の下にできていた大きなアザが残っているのですが、もうすぐ治ってくれるものと思います。

 普通の絆創膏に替えて10日目。まだかさぶたが引っ掛からないように絆創膏を貼りたいのですが、自宅のストックが尽きてしまいました。明日買わなくちゃかな。それでも、ひとまず収まってきて良かったです。出張時のガーゼの携帯も、今後続けようと思います。
 それから、早朝走るときにはその土地の治安や動物、交通マナーだけでなく、歩道の段差にもくれぐれも気をつけようと思います。

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<追記>
 他にも応急手当のための良い製品があるよ、と教えていただきました。ありがとうございます。

キズパワーパッド(J&J)
 これも乾燥させず、傷から出る汁を吸収してくれるので良さそう。ジャンボ70×62mm、大きめ70×44mm。