液化ガスの危険「一呼吸一コロリ」

 2012年7月12日、理科大で出席した「高圧ガス保安講習会」にあった説明でインパクトのあることがあったので、記録しておこうと思います。

 「一呼吸 一コロリ」

 これは、酸素の少ない(酸素濃度の低い)空気を吸ってしまうと、それが長時間でなくても一呼吸で意識を失ったり、命を落としたりする恐れがあることを表現した言葉です。
 とても怖いことだと思いませんか?

 参考までに、酸素濃度による人体への影響については、次のように説明がありました。

 酸素濃度
 20.9% 地球の地上での空気の組成
 18% 作業環境基準値
 16%以下 脈拍・呼吸数の増加、頭痛、吐き気
 6%以下 数呼吸で失神、昏睡、呼吸停止、心臓停止
 0% 1回の呼吸で死(2秒以内に脳の活動低下・停止)

 たとえば、部屋の中で液化ガスがある程度以上の速さで気化できる状況になっていると、部屋の中で気化したガスの濃度が上がり、酸素濃度が下がってしまう場合があります。高圧ガスが漏れる場合や、狭い部屋でドライアイスが気化する状況も同様です。

 ここで「一呼吸 一コロリ」の事実は、人がこの酸素濃度が下がった部屋にいることについて、「苦しくなる前にやめれば大丈夫というわけではない」ことを示しています。なぜなら、酸素分圧のある程度以上低い空気を(気づかなくても)吸ってしまうと、血液中の酸素分圧が下がって脳機能が停止し、意識を失ってしまうのですから。意識を失ってしまったら、そこから逃げることもできませんよね。

 高圧ガスや液化ガスの危険性は、破裂や凍傷(気化熱による)の恐れだけではないということを気づかされた講習でした。

 実験に使って余った液体窒素を部屋に撒いたり(←非密閉空間でごく少量なら問題ないのでしょうけど、程度の問題です)、狭い部屋でドライアイスを使いながら実験試料の整理をしたりするのはやめましょう。


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 次の講習で特に記録しておきたいと思った点・・・

●2013年高圧ガス保安講習会より(4月23日)
 1)使用済みの高圧ガス容器は、すみやかに納入業者に返却すること。
 2)ガスが残っていても、6ヶ月を目安に返却する。(行政推奨)
 3)ボンベ返却時は、必ず残圧のある状態で。大気圧や負圧状態では、容器内部が汚染されてしまうため。