記事紹介「データを正確に解釈するための6つのポイント」

 「正しい知識が捏造を防ぐ データを正確に解釈するための6つのポイント」の連載記事が、分子生物学会ウェブサイトに公開されています。『蛋白質 核酸 酵素』(共立出版)誌上で2008年から2009年にかけて連載された記事です。

正しい知識が捏造を防ぐ データを正確に解釈するための6つのポイント

 (2015年9月3日: これ、英語版ないのかな…)

 生物学実験を伴う研究をする人は、できるだけ早くにこのような記事を読み、理解に努めるのがいいでしょう。若手研究者(学生を含む)にとって、データの取り方や解釈の仕方を早めに学び、理解することは必須です。私自身、上の記事を読んで自らを省みながらとても勉強になりました。

 連載の最後の記事である「分子生物学,生化学,細胞生物学における統計のポイント」は、とくに私が関心を持っていることです。私もまだまだ統計を勉強しなくてはならない者の一人ですが、今年(2011年)の1月には研究室内で、「データの読み取り方 ~解析と解釈~」という表題でのセミナーをしていました。個人的には、統計解析や統計的有意差、再現性についての理解の他に、「母集団」と「標本集団」の理解が重要ではないかと思っています。





 以下、冒頭に紹介した記事で6つのポイントとして取り上げられている内容を、キーワードのみ拾って紹介します。バイオの分野の研究者でまだ読んだことのない方は、是非とも上のリンクから全文を読むことをお勧めします。


Photoshopによるゲル画像の調整
 -とくにウェスタンブロッティングの例をあげて(SR曲線とトーンカーブ、バックグラウンドの考慮)

蛍光顕微鏡データの解釈
 -蛍光の漏れ・自家蛍光・タンパク質を高発現させたときの凝集、単色対照・無染対照の重要性、間接蛍光抗体法による検出パターンとの比較

“客観的な”判断のむずかしい事例の扱い
 -判断基準の明確化、典型例や代表例をどう示すか、再現性や出現頻度への言及

“微妙な”データの表現
 -その差には意味があるのか・主張したいことは何か、データを読む秘訣は情報交換から

大規模データの解析における問題点
 -多重比較時の有意水準FDR (false discovery rate)=陽性判定に含まれる偽陽性の推定割合を示す指標=などの活用、「真に陽性のものを1個得るための検証に必要な労力」への配慮

統計のポイント
 われわれが統計を行うにあたっての土台となる根本的な考え方-「母集団の分布が重要」、「検証的な研究と探索的な研究」、「統計的有意≠生物学的に意味があること」など


 あと数ヶ月すると研究室に新入生が来ますし、私はまた勉強し直したいと思います。皆さんも是非。