BMB2010(1日目)-男女研究者共同参画を考える

今日から、分子生物学会・生化学会合同大会
(BMB2010)に参加しています。
今朝、朝一番の飛行機で神戸に入りました。

さっそく今日、私は研究発表を行いましたが、
発表は明日もあるので報告はまた明日。
今日は、「男女(研究者)共同参画」の話題について
昼にワークショップと夕方にフォーラムがあり、
私も参加しましたので、以下はその記録です。


・BMB2010 男女共同参画ランチョンワークショップ
・1F19 もう一度根本から考え直そう男女共同参画


私は、11月9~10日に日本大学(市ヶ谷)で行われた
「男女研究者共同参画国際シンポジウム」にも
1日目(9日)のみ参加していました。

総じて感じたことは、男女共同参画の課題について、
社会への現状の訴え方や目的の伝え方が
もっと工夫されるべきではないかということです。
その理由は、次の2つです。

1. 目的を整理して伝えることで社会への理解を促し、
 関連する種々の施策をより効果的なものにするため。
2. この課題については大学や研究所だけでなく、
 社会全体から変える必要のある部分が多いため。

私は(1)に「目的を整理」するべきとしましたが、
この「目的」としては、11月のシンポジウムで聞いた
米国の2人の教授の言葉が本質をついていたと思います。

「"Accumulated Disadvantage" の克服」
(Patricia Rankin教授、Anne E Lincoln教授)


彼女らの講演において共通していたのは、
「今その職場/分野に女性が少ないこと」が、
・精神的な面
・ハード(女性用のトイレが少ないなど)の面
の両方で、次代の職場での女性比率を下げる
要因となってしまっているという指摘でした。
まずは、職場における女性比率を数字の上だけでも
上昇させることで、この現状を打開することには
大きな意味があるでしょう。

そして、この
「"Accumulated Disadvantage" の克服」
が、男女共同参画のテーマの議論の論点を
整理する上で、極めて明快なキーワードで
あると思います。
さらに、このように目的を簡潔にして社会の理解を
促すことが、種々の施策をより効果的に進めるために
必要なのではないかと思うのです。

今日のBMB2010のイベントでは、
「施策の目的」についての議論はありませんでしたが、
以上を私の意見としてここに記録しておきます。


最後に、11月(日本大学)と今日(BMB2010)の
企画に参加し、私の聞いた興味深い講演・取り組みを、
各々1つずつ紹介します。


・医学序論の講義における医師のキャリアパス教育
 (落合豊子教授、日本大学医学部)

キャリアプラン(=研修や異動、昇進)の中に、
どのようにライフステージ(=出産、育児、教育)を
組み込んでいくかの授業の導入・実施。
(蛇足ですが、落合先生は壇上で講演されるときは
 厳しい語り口であるのに対して、懇親会でお話したときは
 とても優しく話してくださったのも印象的でした。)

・「男性の視点から見た男女共同参画
 (安藤哲也氏、NPO法人ファザーリング・ジャパン)

「父親の育児参画」の課題は、
「父親とはどうあるべきか」という問題というより
むしろ「人が人とどう接するべきか」という問題で
あると思われる部分が多かったです。
内容がそこに偏っていた点は残念にも感じましたが、
いくつか参考にしたい事例を聞けたことは
勉強になりました。
学会で、図らずして家庭や育児のことを
学べてしまいました。