TUSフォーラム2011参加報告

 2011年11月1日(火)、東京理科大学のフォーラム「TUSフォーラム2011」に参加しました。
 まず、複数の学部の教授から最新の研究発表と塚本桓世理事長の講演があり、次いで藤嶋昭学長の「20年後の東京理科大学への期待」と題した講演。後半に来賓の方々の講演と続き、豪華でかつ勉強になるフォーラムでした。

 とくに私の心に残ったのは、藤嶋学長の講演と来賓の北澤宏一氏(JST前理事長)の講演の2つです。

藤嶋昭学長
 「20年後の東京理科大学への期待」
・北澤宏一氏(JST前理事長)
 「超伝導:これまでの100年、これからの100年」


藤嶋昭学長
 「20年後の東京理科大学への期待」

 藤嶋学長は今後の東京理科大学の方針として、次のようなお話をされました。

1) 教養教育の改善について。とくにすでに始めている大学院での教養教育のための取り組みのこと。
2) 大学の出版局から、本学の研究成果を新書刷として発行し、高校の先生たちに読んでもらえるようなものを増やしていきたいということ。
3) 課外活動も重視しているということ。


 大学院での教養教育の重視は、是非とも実現してほしいと私も思います。実際に私は、学部生の頃よりも大学院に進んでから専門以外のことに目を向ける余裕を持てました。ある程度専門のことを知った上で、その知識をどうしたら活用できるかを考えたときに、もう一度“教養”をよく学びたいと思ったのです。
 ただし、大学院生は実験や就職活動で教室に足を運べない人が少なくないのも現実です。そこで、価値ある講義をウェブで(学内だけでも)中継するということも、もし可能であれば実現してもらえないかと私は思います。

 話は変わって、3つ目の「課外活動」の話題。図らずも学長は、大学駅伝のことを取り上げてくださいました。箱根駅伝理科大の名前を見ることを、非常に困難であることは知ったが実現してほしいこと。女子駅伝への出場も目指してほしいということ。私は陸上部のOBとして、学長からこのようなお話を聞けて、これほど嬉しいことはないという想いでした。


●北澤宏一氏(JST前理事長)
 「超伝導:これまでの100年、これからの100年」

 北澤氏がお話しされたことの一つは、超伝導の応用によってエネルギー問題の克服が期待されるという内容でした。
 エネルギー問題に関連して、冒頭では原発事故の話題を紹介してくださいました。それは、北澤氏が先日スイスで話したときに耳にしたというもので、簡単にまとめると次のような内容のものでした。

 ―スイスは今の日本を指して、(おそらく皮肉も込めて)日本はいいよね、という。日本では原発事故が起こっても、“一部の”国土を失った“だけ”。スイス(広さは九州と同程度)で同じことが起こったら、国土全体が滅びてしまう。また、スイスは海を持たないので洋上発電の選択肢もない。国土が広くなく、陸上の国境に囲まれたEU諸国では、起こり得るリスクとのバランスを考えると脱原発の方針しか取れないのだ。―

 北澤氏の言葉として、非常に重みの感じられるものでした。
 また、講演の最後には次のようなお話もしてくださいました。(講演者の意図に配慮しつつ、私なりの言葉に変えています。)

 「100年という時間は、革新的な技術が応用されて社会を大きく変えるのに必要な時間を考慮すると、決して長くはない。若い研究者には、次の世代の技術の開発を見据えて挑戦をし続けてほしい。」

 是非ともそうありたいと思います。



 2011年11月は、快晴の青空の下でのスタートでした。



TUSフォーラム2013参加報告(2013年11月6日)