免疫染色(免疫組織化学)と界面活性剤の話

免疫染色で、組織切片にタンパク質(抗体など)を
反応させるとき、その切片への浸透を良くするために、
反応液中に界面活性剤を加えることがあります。

しかし、この界面活性剤によって
組織中の脂質やタンパク質が壊されてしまい、
目的の(可視化させたい)タンパク質を
見ることができなくなってしまうことがあります。

細胞膜上のタンパク質や、細胞外基質を染めたい
場合には、気をつけなくてはいけません。
今日、界面活性剤を一連の実験操作から除いたところ、
1年以上の間失敗していた染色の結果が、
一発でガラっと変わりました。


まだきれいに染色できたわけではないのですが、
今日のものが完全ではないとしても、
前回までの結果とはまったく違いました。

今回の染色切片から得られる像を詳細に観察し、
さらなる改善案を検討していくことで、
答えにグッと近づくことができると思います。

今まで、多くの枚数の切片を無駄にしてしまっていました。
これで、残りの切片のすべてを無駄にする恐れは
なくなったと思って良いだろうと思います。
ひと安心です。

皆さんも、免疫染色の抗体反応液などに
界面活性剤を使っていたら、気をつけてみてください。


そんな結果を得たのが、今日の午後8時半。
今回、大きく方法を変えて対策したにも関わらず、
また“透明な”(つまり色の出てこない)結果だったら、
正気では帰れなかっただろうと思います。
遅くまで手を動かしてくれた後輩に、
感謝したいと思います。

次は12時間後、明日の朝8時すぎからは、
別の後輩のマイクロアレイ実験が始まります。
彼女はこれが初めてのアレイ実験なので、
こちらもしっかり見てあげたいと思っています。

「マイクロアレイ」は、その解析法の確立が
私の研究テーマの一つであり、
私が大きな挑戦をしている分野の一つです。
ここはしっかり頑張らなくてはと思っています。


昨日、今日と頑張ってくれた後輩、
明日から3日間頑張ってくれる後輩。
カリキュラムが他の同期とは違うので、
実験のできる期間が非常に短く限られている二人です。

それでも実験をしたいといって、
研究室に来てくれている後輩たちなので。
そんな後輩のためにこそ、
私は力を尽くしたいと思います。
特に今週は、大事な1週間になりそうです。
この後輩のために、可能な限りの力を
尽くしてみたいと思います。


今日は、1年以上の間悩んだ実験のトラブルを
解決できる光が見えたので、
とても晴れ晴れとした気持ちで帰ってきました。

帰り際に、上に書いた二人の後輩と
シュークリームを食べて帰りました(笑)
一人には、「とにかく今日は良かったね。」
もう一人には、「明日から頑張ってね。」
そして、「一日おつかれさま。」

明日からの3日間も、うまくいってくれると良いなと
心から祈りながら、今日は寝ようと思います。