市販の解熱鎮痛薬(1)
市販の解熱鎮痛薬(2)
前回、バファリンとタイレノールを中心に解熱鎮痛薬を紹介しましたが、今回はイブプロフェンとイソプロピルアンチピリンというスイッチOTCを主成分としたものを紹介します。スイッチOTCとは、以前は医師の処方箋がなくては買えなかった成分のうち、より安全性が確認された後に処方箋なしに買えるようになったものを含む薬を言います。多くの場合、より強く効く成分であることが多いです。
●イブA錠(エスエス)
<1回分(2錠中)の成分>
イブプロフェン 150mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg
無水カフェイン 80mg
※ 1回2錠(1日3回まで)
※ 15歳未満服用不可。
●ナロンエース(大正)
<1回分(2錠中)の成分>
イブプロフェン 144mg
エテンザミド 84mg
ブロムワレリル尿素 200mg
無水カフェイン 50mg
※ 1回2錠(1日3回まで)
※ 15歳未満服用不可。
●セデス・ハイ(塩野義)
<1回分(2錠中)の成分>
イソプロピルアンチピリン 150mg
アセトアミノフェン 250mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg
無水カフェイン 50mg
※ 1回2錠(1日3回まで)
※ 15歳未満服用不可。 ====
イブAやナロンエースに入っているイブプロフェンは、バファリンに入っているアスピリンよりも強い解熱鎮痛作用を持つ成分です。特に生理痛にはよく効くため、バファリンでも「バファリン・ルナ」にはイブプロフェンが入っています。
イブプロフェンはアスピリンと同じように、COX-2を阻害することによりPG産生を抑制しますが、消化性潰瘍の副作用はアスピリンよりも弱いと言われています。しかしこちらも、胃潰瘍を持っている人や、イブAやナロンエースを飲むといつも胃が痛くなるという人は飲むべきではありません。(ちなみにPGはそれ自体には痛みを引き起こす作用はなく、痛みの閾値、すなわちブラジキニンなどによる痛覚発生の閾値を下げることにより痛みを増強する働きを持っています。)
イブAとナロンエースは、ともに鎮静作用を持つ成分が入っており、これも痛みを鎮めてくれます。イブAではアリルイソプロピルアセチル尿素、ナロンエースではブロムワレリル尿素がそれに当たります。しかし、これらの成分は同時に眠気を発生させたりすることがあるため、車の運転をしなくてはいけない時の前などは服用を避けるべきです。また、「頭痛がひどいけど仕事をしなくちゃいけないから・・・」と思ったときに頭痛を鎮めるために飲んでも、今度は眠くなって結局仕事ができなかったりするかもしれません。この薬と一緒にお酒を飲むのもNGです。
まぁ、本当はこういうときは、休んで寝るのが一番良いんですけどね。
最後に紹介するのはセデス・ハイ。イソプロピルアンチピリンというピリン系の解熱鎮痛成分を含む薬で、市販の薬の中で鎮痛作用は一番強いそうです。ただ、ピリン疹が出てしまうなど、人によっては合わない場合があるので注意してください。また、これについても、鎮静成分のアリルイソプロピルアセチル尿素が入っていることに注意が必要です。
以上、よく使われる市販の解熱鎮痛薬をまとめてみました。前回も書きましたが、市販薬の連用は極力避けるようにしてください。使い続けると薬が効きにくくなって、大事なときに効かないなどということにもなりかねませんので。
市販の解熱鎮痛薬(1)
市販の解熱鎮痛薬(2)