明日=2016年11月13日から、福岡県北九州市で行われる国際会議PPTOX V(→conference website)に参加します。PPTOXは「prenatal programming and toxicity」で、つまりは人の健康のために大事な生まれる前の環境のことをちゃんと考えていこうよ、ということ。それをテーマに掲げるこのカンファレンスには、前回大会(@米国ボストン)の閉会式で「次回」(つまり今大会)のアナウンスを大会長の代理でさせてもらうなど、なんだか不思議な縁を頂いてきました。
これに初めて参加したのは、2009年12月に開催された米国マイアミでの第2回大会。ただただ、コテコテに化学物質を扱う大会だという印象でした。当時私は大学院博士課程を修了する間近で、指導教授と一緒に参加し多くの先生と知り合うことができました。
講演の後のフロアで長く議論をしたらしい米国の年配の先生が、coffee breakの場に戻るやいなや「私のスイーツはもうないのか!」と怒っていたのがやたら印象的な、私にとって初めての米国滞在でした。あと、セッションが替わるたびに会議の全席にペンとメモ帳が置かれるので、こんなに置く必要あるのか、と近くにいた同世代の米国人学生に訊いたら、「アメリカは無駄が多いからね…(笑)」という答えが返ってきたことも印象に。あと、やたらに抄録集が分厚く硬かったな…。
そういえばこのときは、行きの飛行機でスペイン語と日本語しか分からないコロンビアの人のトランジットの案内をしたり、預けた仕事道具が着いた空港で出てこなかったり(1時間半で遅れで出てきた)、そのせいで遅れて空腹で着いた夜の町で夕食も満足にとれず、しかもホテルに着いたときに電灯の点け方すら分からずに、もう無事に帰れないかと思ったりしたものでした。あと、翌日昼食をとったカフェで「夕方仕事があるから会おうよ」と店員に言われたり。その人とは連絡先まで交換したものの(私の疲れが度を超えていて)会わ(え)なかったのですが、あれはそもそも、絶対にもう一度会ってはいけなかったやつだと後日気づきました。
あと、直前に日本であった政権交代後の事業仕分けがあり、若手研究者の一員として取材を受けたり、出発前日に博士論文の提出をしながら携帯電話をなくしたりと、直前にやたら大変だった会議・研究発表でもありました。
> PPTOX II関連論文メモ(2009年12月8日)
Roles of environmental stressors in the development origins of diseaseに関して、adaptive alterationの総説/animal modelの知見総説/デキサメタゾン(ステロイド薬)のクリアな影響/エピジェネティクス。
第3回大会は、2012年5月にフランスのパリでありました。「環境って何だ?」の問い掛けの答えに "Everything that isn't me" というAlbert Einsteinの言葉が引かれたのが印象に残った回です。今回(2016年)の大会長のグループに初めてお会いしたのもこの大会でした。
第2回大会と比べ、妊婦の栄養摂取や生命倫理・規制の話題も多く取り上げられた回でした。そのときの私のメモに、見直しておきたいキーワードがいくつか。
●Influence on development
・Death
・Birth defects
・Premature birth
・Low/High birth weight
・Functional changes!!
...gene expression, signaling pathway
...epigenetic changes & latent effects
●Importance of epigenetics
・Plausibility (of gene expression pattern/change)
・Mechanism
・Biomarkers
Prins & Ho et al. "Developmental exposure to bisphenol A increases prostate cancer susceptibility in adult rats: epigenetic mode of action is implicated" Fertil Steril (2008)
●Scientific context become complexed -> more uncertain and ignored (possible)
> PPTOX III印象に残ったフレーズメモ(2012年5月24日)
> PPTOX III White Paper (Environ Health 11: 42, 2012)
> PPTOX III Conclusions (Toxicol Sci 131: 343-350)
第4回大会は、2014年10月末に米国ボストンで。本当はこの回が北九州で行われるはずだったのですが、いろいろあったのでしょう。第3回大会までは米国SOTの支部会のような位置づけだったのがそれを外れ、代わりに米国内分泌学会の共催のような形で行われました。この回の大会長はグランジャン先生。
この回では急に疫学の研究発表が増えた印象でした。
> PPTOX IVとクラムチャウダー@ボストン(2014年10月30日)
このときのボストンでは米国のハロウィンを見たり、MITの奥山くんやYaleのタナカ氏にも会えたりしたのでした。YaleのあるNew HavenからBostonまで、車窓から見えた紅葉がきれいだったな。
さて、今回は今日北九州入りして明日がスタート。小児環境保健分野研究者養成プログラムを並行して開催しており、私が招聘を提案したUlla Vogelさんもデンマークから来てくれます。楽しみです。明日は偶然ですが、そのUllaさんの誕生日だったりもします。とにかく楽しみです。
豚骨スープのもつ鍋@黒船・魚町店